格闘家・青木真也が語る、格闘技をやっていて良かったこと

 こんにちは。総合格闘技選手の青木真也です。格闘技をやっていてよかったことは、何かなと考えてみました。「新しい生き方」とか、「アツい生き方」ができたと書くことも可能でしょう。多分ですが、そのほうが印象も良く、支持を得られるのではないかと思います。そうなのですが、嘘は良くないし、詐欺師ではないので正直に、自分の思うことを書きます。


 僕は、組織で何かをやるのが苦手です。合理的に考えるので、意味が無いことが嫌いです。この記事を書いている今、東京では雪が降っています。11月の積雪は54年ぶりとのことです。今日は、練習だけやって(練習は何があっても外さない仕事)それ以外のことは、今日でなくてもいいなと思っています。練習以外の予定をキャンセルして家に引き蘢っています。その時点で、日本の組織で生きる適正は2割減なのだと思います。


 それは冗談としても、僕は普通に会社員として就職して定年まで働く生き方ができませんでした。できなかったという、コンプレックスが強く残っています。


 もしも、大学を出て就職した静岡県警での仕事が僕に務まっていたのであれば、フリーランスとしての生き方は選択していなかったはずです。「安定した生活」を優先順位の最上位に置く僕からすれば、地方での公務員はそれ以上ない生活だったと思います。ですが、僕には務まりませんでした。


 前回の記事でも書いたように、2ヶ月で退職です。「安定した生活」からは距離が生じてしまったのですが、今は家族もできて、なんとか生きています。格闘技をやっていてよかったことは、会社員として働くといった王道から外れても生きられることです。収入、やりがい共にあります。


 格闘技は、普通に生きていけない人のセーフティーネット的な役割があって、僕はその恩恵を受けています。僕は、自分以外の働き方や生き方を否定することはありません。なぜならば、自分ができない生き方だと分かっているので尊敬の念があります。僕は普通に生きれなかったので、フリーランスとしてやっている。なので、その分を取り戻すように、懸命に生きていかねばと思っております。日々を懸命に頑張っていこう。コツコツと。


 さて、脱線話としての格闘技をやっていてよかったことを。(くだらないです)

・通勤電車に乗らなくていい(自転車移動が許される)

・服装が適当で良い(パジャマと私服の境界線が曖昧)

・休みが自分で決めることができる(混雑のシーズンを外せる)

・好きなことをしているだけなのに尊敬される(これは申し訳ない)


 この他にも、上げればキリがないです。この反対側には『いつどうなるかわからない』という大きなリスクがあるので、お忘れなく。


 それでは今日も生きるために懸命に生きていきましょう。練習と育児と厳しい闘いが待つ。人は皆、闘っています。


【PROFILE】

あおき・しんや●1983年生まれ。静岡県出身。早稲田大学人間科学部卒業後、静岡県警就職。学生時代から修斗に参戦。その後PRIDE、DREAMなどに参戦し、現在はシンガポールを拠点とするONEで活動中。元DREAMライト級王者。元ONE世界ライト級王者。近著に『空気を読んではいけない』(幻冬舎)がある。

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