「故意ではないドーピング」の真相は? UFCのスター、ジョン・ジョーンズに1年の出場停止処分

 7月に開催された「UFC200」でダニエル・コーミエとのライトヘビー級王座統一戦が予定されていたものの、直前になり薬物検査で陽性反応が出たことで試合が中止となった暫定王者、ジョン・ジョーンズの1年間の出場停止が決定した。


 総合格闘技の世界でもドーピングにより出場停止に追い込まれる選手が近年後をたたないが、故意に薬物を摂取する事例と共に、最近顕著なのがサプリメントや強壮剤などに、違反薬物が含まれているケースだ。


 11月7日に行われた独立仲裁委員会で3人の仲裁人による委員会の審議は、ジョーンズ本人のヒアリングを経て行われたもので、すでにジョーンズ本人が運動能力を向上させる精力剤の薬剤に違反薬物であるクロミフェンとレトロゾールに含まれていたことを認めていることから、ペナルティとなる出場停止期間1年が確定した。


 1年という重い処分は、2月にサプリメントから禁止薬物を摂取したティム・ミーンズや、同じく1月の試合後に同じように陽性反応が出たヨエル・ロメロなどとの比較により決定されたもので、2選手に関しては一時は2年間出場停止という重い処分も検討されていたが、情状酌量により6カ月の処分にとどまっている。


 スポーツコンサルタント会社のマクラーレン・グローバルスポーツソリューションの審議委員の一人は「今回の提出された証拠では、ジョーンズ選手は不正行為をはたらいてはいない」と一言付け加えている。要するに「わざとドーピング行為を行った訳ではないが、強壮剤などの摂取はアスリートとして軽率であった」というものだ。


 ジョーンズも会見で涙を流しながらインタビューにこたえ「もっと軽い処分を期待していたが、今回故意にドーピングしたわけではないことが証明できたことは嬉しい。イメージの回復とリング復帰にはあと8ヶ月を要することになるが、これまで通り応援してくれるファンとコーチ、スポンサー、UFCに感謝したい」とコメントした。


 史上最年少のUFC王者で「パウンド・フォー・パウンド」(異なる階級を比較した上でで最強)との称号を得たエリート・ファイターのジョーンズの出場停止は大きな衝撃を与えたが、アンチドーピング機関(USADA)との提携により、より厳しい選手たちのドーピング問題に取り組んできたUFCにとってはクリーンな競技としてMMAを牽引する義務がある。そのためにもジョーンズの厳しい処分は避けて通れないものだったといえるだろう。


 これまで急成長の中で見逃されて来たこともあったであろうMMAファイターのドーピング問題だが、参加する選手たちにもオリンピック選手や他のメジャースポーツのように厳密に摂取物を管理するプロフェッショナルとしての自覚が求められるという団体側の強いメッセージにも取れる。


 UFCへの復帰は早くても2017年の7月になるが、発展の目覚しい総合格闘技の世界での1年は余りにも長過ぎる。現在29歳とキャリアのピークにさしかかったジョーンズが再び最強の称号を復帰後手にすることが出来るか、トップファイターとしての真価が問われるのはこれからである。

続きを見る