【DDTプロレス】アメリカの最先端を日本のファンに見せ、DDTの闘いを世界中のファンに見せる

昭和の昔から、外国への長期遠征、いわゆる“海外武者修行”は多くのプロレスラーに成長、変化、変身をうながしてきた。

最近で言えば新日本プロレスのEVILや高橋ヒロムがそうだ。所属団体とは違うリング、生まれ育った日本とは違う国、言葉の通じない環境と初めての観客。それらが若いレスラーを鍛え、磨き上げる。

(この日の会見には男色ディーノと自称“ドナルド・トランプ”スーパー・ササダンゴ・マシンも登場。ディーノvsジョーイ・ライアン戦がANAL EXPLOSION DEATH MATCH=肛門爆破デスマッチになることが正式決定)


DDTには、選手が“海外武者修行”を行なうイメージはあまりなかったが、昨年から入江茂弘が2度の長期海外遠征を敢行している。過去に団体の最高峰であるKO-D無差別級タイトルを獲得、最多防衛記録を作った入江。だが親友である石井慧介、高尾蒼馬とのユニット『チームドリフ』を解散したあたりから停滞が目立つようにもなった。

仲間に頼るのではなく、一人立ちするための海外遠征。アメリカ、カナダでの試合と生活で、入江は日本ではできない経験ばかりをしてきたという。曰く「当たり前のことが当たり前にできなかった」。部屋にネズミが出る、トイレがまともに流れない。毎日シャワーが使えるとは限らない。もちろん、英語も苦労しながら少しずつ覚えていくしかなかった。おかげで「細かいことは気にしなくなったし、日本ではまったく不安がなくなりましたね」。

試合からも得るものが大きかった。日本での入江は基本的にパワーファイター。しかし北米ではパワー一辺倒の闘いは通用しなかったという。

「向こうには、考えられないくらい大きい選手がいるんですよ。だから今までの自分のスタイルでは限界があって。勝った試合はサブミッション(絞め・関節技)が多かったです。これからもそこに磨きをかけていきたい」

昨年からフィニッシュ技としてタズミッション(片羽絞め)を使っている入江。そこに磨きがかかれば、迫力に緻密さが加わり、闘いの幅はさらに広がることになる。

DDT旗揚げ20周年のさいたまスーパーアリーナ大会(3月20日)では、マイク・ベイリーとの一騎打ちが決まっている入江。人気選手がひしめく中、シングルマッチが組まれたこと自体が期待の表れとも言えるだろう。対戦相手のベイリーはアメリカマットの最前線で活躍する選手だけに、入江は「最先端でやってきたことをぶつけ合う試合ができる。世界に届ける試合になると思うし、メインを喰います」と意気込みを語った。対するベイリーも「プロレスはアートで、自分もイリエもアーティスト。DDTで一番というだけじゃない、プロレスの歴史で一番熱い、面白い試合がしたい」とコメントに熱がこもる。

(3月18日の記者会見。ベイリーとともに決戦への意気込みを語った入江)


入江はミルウォーキーのMIAWという団体でチャンピオンにもなったとのこと。帰国前にベルトを奪われてしまったが、それだけに「アメリカからベルトを持ち帰って、日本で防衛戦をやりたい」という新たな目標もできた。

動画配信サービスDDT UNIVERSEによって海外での注目度も高まりつつあるDDT。入江vsベイリーは、まさに世界を意識した試合になるだろう。アメリカの最先端を日本のファンに見せ、DDTの闘いを世界中のファンに見せる。20周年記念大会、凱旋試合でベイリーとともに入江が背負う期待は大きい。

文・橋本宗洋

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