青木真也、「闘っていて楽しかった」 ONE Championship、ゲイリー・トノン戦を振り返る

 青木真也です。先日の「One Championship シンガポール大会」グラップリングマッチでの応援ありがとうございました。結果からいうと負けなのですが、内容のある負けでした。内容のある、手応えのある負けです。分かりやすく言うならば、先に繋がる負けとなるのでしょうか。

 今回の対戦相手である「ゲイリー・トノン」は柔術世界チャンピオンで現在進行形の世界一。その選手とグラップリングマッチをするのだから、MMAファイターである僕にとっては相手の土俵で闘うことになります。当然、分が悪いのは分かっていますし、戦前は攻防をさせてもらえずに決着させられてしまうのかとさえ思いました。


 実際に試合をしてみると決着の攻防までは僕のペースで試合は進んでいました。練習した攻防が出せて、作戦通りに進んでいたので驚きました。柔術の世界チャンピオンに対しても自分の技術が通用する手応えを感じ、それは自信に繋がります。


 最後の足関節を巡る攻防は、相手の得意な技術です。その攻防を作られた時点で勝負ありでした。お互いに理詰めで攻めているので、足関節の局面を作られた時点で「王手」でした。将棋やチェスのような闘いでした。闘っていて楽しかったのが本音です。

 試合までに取り組んだことの成果も上がり、試合で学ぶこともできたので、先に繋がる負けです。先に繋がる負けにするには、いい取り組みが必要です。それには過程を大事にしなければいけません。日々、一生懸命取り組んできてよかったです。


 試合が終わった翌日、シンガポールのチャンギ空港から日本に向けて帰るときに思いました。最高の1ヶ月で、思い返すと本当に楽しかった。試合に向けての練習、試合への恐怖心など苦しく、辛く感じることもあったけども思い返せば、全てがいい想い出。34年間生きてきて最高に楽しい1ヶ月でした。結果に関係なく、毎回こう思える生き方ができたらいいなと思うし、そうあれるように一生懸命に生きます。


 仕事がお金を稼ぐ術だけではなく、生きていく術(生きがい)になっている生き方は幸せだなと感じています。お金を稼ぐことと、生きがいを別に持ってもいいと思う。だから否定はしないのだけども、一緒にできてる幸せは感じます。


 試合後ケージの中からの第一声は観客席に向けての「ありがとう」でした。そこに自己顕示欲は一切なくて、ただ感謝を伝えたい気持ちでした。昨年の11月に負けて戻ってこれたことが自分の力だけでは、できなかったことを自分が一番知っています。


 応援して下さる方々、この記事を読んでくれている方、全ての人に感謝しています。


 ここ何回か真面目な記事が続いたので、次回からは脱力できる記事を投げていきます。よろしくお願いします。


文/青木真也

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