日本のMMAの歴史!ミノワマンvs.近藤は予測不能な展開に

 何故、世間は騒がない?「14年ぶりのパンクラス、20年ぶりの近藤有己vs.美濃輪育久2だぞ!」と思った人も少なくないだろう。

 7月2日、ディファ有明開催された「PANCRASE288」で実現した両者のリマッチ。共に41歳、流れた月日、さらに当時とは全く違うMMAルールに近いパンクラスルール、110戦目(ミノワ)対102戦目(近藤)、時は流れ、美濃輪も超人ミノワマンにその名を変えた。とはいえ日本のMMAの「歴史」とミノワ自ら宣言した近藤との対戦は「何かが起きる予感」だけを漂わせながら通り過ぎていった。


 ミノワマンの入場テーマ「One Minute In Heaven」が流れた時の高揚感、お馴染みの腕を天に指し示すお馴染みのポーズ、一方の近藤はいつも通り「新しい季節へキミと」で入場。菊田早苗が花束贈呈に登場するなど、試合前から「歴史」を強く感じさせる演出でもり立てる。様々な紆余曲折を経てもはや予測不能という表現が手っ取り早い、そんな組み合わせだが、蓋を開けるとさらに予測不能な展開が待ち受けていた。

 まずガードを低すぎて理解不能なミノワマンの構え、しかも後ろの早歩き気味にサークリングしていく。オーソドックスに構える近藤の射程距離を微妙に外し、高速で後ろに小走りを続けるとみるみる時間は経過していく。距離が近づくとミノワマンは、オーバーハンドぎみの右フックを放つが不発。今度がジワジワと距離を縮めると、再びミノワが右を放つ。奇策に対してややプレッシャーを強めた近藤だが、ローを起点に手数を増やす、ラウンド終了際にミノワマンが浴びせ蹴りを放つもこれも不発で1R終了。


 2Rに入っても、ミノワの独特のステップとサークリングは続く、いまいちペースが掴めない近藤だが、積極的に前にでることを選択し、ローキックを起点に攻撃、ガードが下がるとミノワの再び右フック、変則的な移動から右フックという単調な攻撃を徹底する。2R後半にオーバーハンドが一発当たり近藤がフラつくが体勢を崩しただけで、威力なくラウンドが終わる。


 3R、逆に右回転でサークリングするミノワ、序盤に右が一発入るがこれも決まらず、サークリングからの攻防で、カウンターで近藤の右をボディに浴びると体勢を崩し倒れ込むと、すかさず近藤が上になりグランドの展開に、対するミノワも下からアームロックからキムラロックを試みるが、ここは近藤が冷静に対処。上になった状態で腕をとったミノワを完全に防御し、左のパウンドをボディに叩き込み、ここで試合終了。


 判定結果は、3-0(29-28 29-28 30-27)で近藤の勝利。ジャッジも常に下がり気味の戦術を取り続けたミノワマンに対し手数を稼いた近藤を支持する妥当な結果だ。誰が見ても消化不良の内容といえる近藤とミノワの再戦だが、現行のルールに乗っ取り近藤との距離を取りながら、右のフックで一発勝負に賭けたミノワの戦術が終わってみると透けてみえる。近年のMMAの試合ではKOされるシーンが増えていたことも頭をよぎる。


 紛れもなく傍から見れば「凡戦」だった訳だが、勝ちにこだわるという点でお互いが自身のスタイルを譲らず貫いた故の結果という解釈もできる。やや惜しまれるのは3Rの残り2分からの、余りにも遅すぎたグラウンドの攻防。一瞬打ち合いの中で見せた近藤の速さに対し、下から、いかにもミノワらしい腕を決める技術が透けて見えたが、あの逆小走りサークリング地獄の末に一瞬だけ顔をみせた2分間の攻防は、見る者にとって余りにも短か過ぎた。

photo:AbemaTV格闘チャンネル

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