「60億分の1の男」VS「ターミネーター」 ヒョードルvsミルコ“地上最強決定戦”を振り返る

9月23日に開催される「UFCファイトナイト・ジャパン」を前にAbemaTVではUFCやPRIDEを含む総合格闘技の名勝負を連日放送する。今回取り上げるのは「PRIDE GRANDPRIX 2005」の“ロシアン・ラストエンペラー”エメリヤーエンコ・ヒョードルと“ターミネーター”ミルコ・クロコップのPRIDEヘビー級タイトルマッチ。

実はこの両者の対戦は、2003年11月9日に東京ドームで開催された「PRIDE GRANDPRIX 2003 決勝戦」で行われる予定だった。


同年8月10日に行われた「PRIDE GRANDPRIX 2003 開幕戦」で、イゴール・ボブチャンチンに強烈な左ハイキックでKO勝利を飾ったミルコは、この試合後のリング上で「次はタイトルマッチだ。エメリヤーエンコ・ヒョードルと戦わせてくれ」とヒョードルに宣戦布告した。


これを受けて11月9日の東京ドーム大会でヒョードルとミルコのPRIDEヘビー級タイトルマッチが組まれたが、ヒョードルが練習中に右手を骨折したため欠場したため、代わりにミルコ対アントニオ・ホドリゴ・ノゲイラによるPRIDEヘビー級暫定王者決定戦が行われた。


この試合でミルコは、ノゲイラに腕ひしぎ十字固めを極められてしまいタップアウト負け。これによりミルコの総合格闘技での無敗記録がストップした。


■ヒョードルの弟をKOし、改めてヒョードルへ宣戦布告

同年8月15日の「PRIDE GRANDPRIX 2004 決勝戦」では、PRIDEヘビー級王者ヒョードルの弟のエメリヤーエンコ・アレキサンダーと対戦したミルコは、20キロ以上の体重差を問題にせず左ハイキック一発でKO勝利。この勝利により、ミルコはPRIDEトップ戦線への返り咲きを果たすとともに、改めてヒョードルへの宣戦布告を行った。


この試合を控え室で観戦していたヒョードルは、「やってくれたな」と発言。こうして2年越しにヒョードルとミルコの対戦が実現することになり、ミルコとの試合を前にしてヒョードルは自信たっぷりにこう言った。「俺は彼をただ待たせていたわけじゃない。強くなる時間を与えてやったんだよ」


戦前から「地上最強決定戦」「人類60億分の1を決める戦い」として注目を集めたヒョードルとミルコのPRIDEヘビー級タイトルマッチ。会場のさいたまスーパアリーナに集まった47,629人の観客があげる大歓声のなか、ゴングの音が響き渡り、いよいよ世紀の一戦が始まった。


両者の対決は1Rから激しい打撃戦となり、ヒョードルはジリジリと前に出てプレッシャーをかけ続け、ミルコはバックステップでリングを回りながらの打撃で応戦するという形となった。


ヘビー級とは思えないハイスピードの攻防が繰り広げられるなか、ミルコの左ストレートが炸裂し、ヒョードルは一瞬グラつく。ミルコは一気にパンチの連打で詰め、ヒョードルの大振りの右フックをかわして左のハイキック。ヒョードルの頭頂部付近に軽くヒットするも、さらに追撃を加えようとしたところでミルコがバランスを崩し、寝技の展開となってしまう。


寝技となるとレベルの差は歴然で、ミルコはヒョードルの決定打となるパウンドを凌ぐのがやっと。細かいパウンドを多く被弾してしまい、ヒョードルに試合を完全に支配されてしまう。結局そのまま1R終了。ミルコはいいパンチを数発当てたが、ヒョードルが取ったラウンドだった。


2Rに入り、ヒョードルが離れ際に左フック一閃。ダメージを受けたミルコはこれを機に容易に倒されるようになり、ヒョードルのパウンドとパスガードを凌ぐのがやっと。立ち技でも空振りが増え、ヒョードルのパンチで何度も動きが止まり、バテてる様子が誰から見てもわかるような状態になってしまう。


試合は双方死力を尽くす総力戦となり3Rに突入。ヒョードルは打撃でミルコにダメージを与え続け、ミルコは手を出すものの、ダメージと疲れでパンチもキックも威力がない。決定的なダメージこそ与えられなかったが、ヒョードルがテイクダウンからのパウンドで試合を支配し、3-0のフルマークで判定勝利。最強のチャレンジャーと呼ばれたミルコを完封して王座防衛を果たし、ヒョードルの“人類最強”の評価は不動のものとなった。

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