「RIZIN」を救った那須川vs藤田 レジェンド路線脱却の象徴となるか

10月15日、マリンメッセ福岡で開催された「RIZIN FIGHTING WORLD GRAND-PRIX 2017 バンタム級トーナメント&女子スーパーアトム級トーナメント 1st ROUND -秋の陣-」。総合格闘技の地上波放送としてはかなり挑戦的な全国中継だったが、この大会の最大の見所は、最高視聴率をマークした那須川天心vs藤田大和の対戦だろう。

キックボクシングの神童として、昨年末にセンセーショナルな総合格闘技デビューを遂げた那須川。キックボクシングの世界ではムエタイ現役王者、ワンチャローン・PK・センチャイムエタイジムをKOするなど無双ぶりを発揮して来たが、キャリア形成の最も重要な時期のMMA挑戦には賛否両論の声があったのも確かだ。そんな中、参戦した12月29日のニキータ・サプン戦では嵐のようなパウンドでKO勝利。さらに予定になかった31日のリングにも上がり、カウイカ・オリージョをチョークで一本勝ちするなど、格闘技の申し子としてのポテンシャルの高さを垣間見せた。


今年に入り「RIZIN」ではフランチェスコ・ギリオッティに再び1RでTKO勝利、そろそろ無名の外国人選手との対戦では物足りないと思った矢先に持ち上がったのが、アマチュアボクシング5冠の実績もある藤田大和との対戦だった。


この藤田大和という選手。高校、大学、アマで王者と高い実績を持ちつつ、エリートであるボクサールートではなくMMAに活躍の場を選んだという、日本では異色の選手といえる。しかし海外でも各競技のエリートたちが早い時点でMMA転向、もしくは並行という道を選んでいることを考えると藤田のような選手の増加は日本のMMAの層の厚さやレベルアップには不可欠なのだ。


結果としては那須川が判定で勝利。一度はダウンを奪われる場面などもあったが、デビュー戦での藤田のポテンシャルの高さに驚いた人も多いだろう。これまで蹴りで次々と強豪を倒してきた那須川の蹴りをボディで受け切り、ある場面ではキレのある蹴りで対抗する姿に当の那須川自身も衝撃を受けたようだ。


ボクサー対キックボクサーのMMAルールでの対戦という構図を考えると、グラップリング技術などで物足りない部分があったのも確かだが、本職からの転身組同士の戦い、この2人が再度対戦したら全く違う結果、景色が待ち受けていることだろう。


那須川は自身のブログ(「志高き道のり」Powered by Ameba)で「判定でしたが勝つことができました。試合してて凄い楽しかった!藤田選手、本当にありがとうございました!」と言葉少なく喜びを綴り、一方の藤田は「できることの30%も出来なかった」と自身のポテンシャルをアピールし今後の活躍を約束した。どちらが強いという結果よりも、那須川と藤田両者にとって素晴らしく噛み合うライバルという金脈を掘り当てたことにこのカードの最大の収穫があると思う。


生中継枠では、メインにRENA対アンディ・ウィンにすえ、世界的に盛り上がりを見せる女子格闘技に対抗した形となったが、試合前のアンディ選手の体重超過というアクシデント。結果的にRENAがKO勝ちを収めたとはいえ、すっかり水を差す形となってしまった。


誕生から数年はレジェンドファイターや、実績あるMMAファイターの招聘でカードを繋ぐという選択肢しか見えなかったが、RENAに代表される「女子格」と、那須川、藤田らの新星の成長と進化という誕生は大きい。新たに那須川vs藤田という名勝負がスタートしたことは「RIZIN」にとってはまたとない朗報といえるだろう。

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