「草なぎさんがリングに上がるなんて…」大社長・高木三四郎が語る“DDTイズム”

今年9月、サイバーエージェントグループに入ったDDTだが、プロレス団体として「丸くなった」「おとなしくなった」という印象はまったくない。“文化系プロレス”とも“大人の悪ふざけ”とも言われるデタラメな魅力に貫かれているDDTイズムとはどんなものなのか。“大社長”こと高木三四郎に語ってもらった。

(聞き手・橋本宗洋)


――DDTがサイバーエージェントグループ入りしたことは、その事実、ワードのインパクト自体も凄かったです。


高木 SWSじゃないですけど、大企業がプロレスに関わることにいいイメージを持ってない人もいたと思うんですよ。ブシロードさんに続いて、それが覆せたかなとは思いますね。「買収」とかいうとショッキングですけど、ポジティブに発信できたなって。プロレス団体、プロレスというコンテンツが投資の対象にもなるということを示せたなとも思ってます。何かとグレーな感じもある業界ですけど、うまくいったことでクリーンだってことも見せられましたし。


――「大きい会社と組んでも口出されて大変だよ。どんぶり勘定じゃ通用しないよ」みたいな雰囲気も過去にはありましたけど。


高木 でもウチは「これからはちゃんとしなきゃ」とは思わないんですよ。今まで通りで大丈夫だなって。向こうの人たちにも、実務作業の中で「すいません、もっとどんぶり(勘定)だと思ってました」って言われましたから(笑)。


――サイバーエージェントグループに入ったことで、できなくなったことややりにくくなったことはないですか?


高木 ないんですよ、それが。たとえばAbemaTVで後楽園を生中継するにあたっても、じゃあUNIVERSEではダメとか、サムライTVではダメっていうのもなかったですし。サイバーエージェントさん全体が、企業文化を大事にしてくれるんですよ。たくさんあるグループ企業それぞれの個性を伸ばせばいいっていう。「経営判断も高木社長が自由にやってください。サイバーエージェントはそれをバックアップします」って言われてますし。逆にプレッシャーですけど(笑)。


――この体制の中で、これからDDTが目指すものは?


高木 一番は、お茶の間にアピールしていきたいし、街の風景としてプロレスをなじませていきたいっていうことですね。その中で「特に変わった、面白いことやってる団体」っていう認知度を高めていきたいなと。今はようやく定着してきた感じですね。そこはサイバーエージェントさんの力を得て、より加速させていくことになると思います。


――AbemaTVの企画が「世間寄り」と考えると、DDTとは相性がよさそうですし。


高木 まさか草なぎ(剛)さんがガンプロのリングに上がるなんて思いませんでしたよ(笑)。そういう面では、今までとは違う新しいものが生まれる可能性もありますね。年末の『朝青龍を押し出したら1000万』も凄いですし。以前、横綱にお会いした時に「プロレス大好きなんだよ」って言われてたんで「もしかして……」とかも考えちゃいますよね。


――芸能人も含めて、他ジャンルの人がリングに上がる時の「さじ加減」、プロレスファンが怒らない、当事者のイメージも下げないっていう手腕はDDTの歴史が証明してますし。


高木 そこは自信があるところなんですよ。時代の変化もありますけど築き上げてきたノウハウ、信頼があると。


――まして所属選手はもう、なんでもやるというか(笑)。エースでもチャンピオンでも路上プロレスをやりますし。


高木 今の時代、なんでもできないとダメですよ。NGがあるようじゃダメ。サイバーエージェントの人にもAbemaTVの人にも言ってるのは「DDTはNGありませんので」と(笑)。ということは、何が起こっても不思議じゃない団体っていうことなんですよ。『72時間ホンネテレビ』で草なぎさんが試合するっていう時も、僕らからのNGはなんにもなかったですから。考えたのは「これはダメ」とかじゃなく「これをどうやって形にするか」だけでしたね。NOって言っちゃったらチャンスもそこで終わっちゃいますから。


――確かに、路上プロレスもあらゆる場所でやってきましたし。書店、キャンプ場、商店街、東京ドーム……。「さすがにこういう場所ではやりたくない」ってありますか?


高木 ない……ですねぇ。どこでもやりますよ。前から言ってた、渋谷の109の前の交差点での路上プロレスとかも、今ならやれるのかなとか思いますね。


――それは選手も大変そうだし、でもやりがいがありそうだしっていう感じですよね。選手の起用とか、出世する選手のタイプも他の団体とは違いますか。


高木 一つは(DDTグループのブランド)DNAですよね。普通なら第1試合、第2試合でやるところを、キャリアが浅い選手ばかりの団体を作って、そこでセミとかメインに出しちゃう。なんでもやらせてみるというか、括っちゃうとつまらないなって。プロレス界には「若手」って言葉がありますけど、僕は「若手ってなんだよ」って思ってるんですよ。プロスポーツの世界で、キャリアがあるとかないとかは本来なら関係ないですからね。


――野球は高卒ルーキーが20勝してもいいわけですし。


高木 誰が一番強いのか、うまいのか、面白いのか。それだけでいいと思いますね。NGがないってこともそうなんですけど、要は「お客さんに満足してもらうためなら何でもやるし、常識にはとらわれません」ってことですよね。実際、何が当たるか分からないですから。こっちから可能性を閉ざすことはないんですよね。

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