大社長・高木三四郎が語る、DDTの未来 「2020年にドーム到達、新クリエイターの育成」

サイバーエージェントグループ入りしたことでさまざまな可能性が広がったと言えるDDTには、どんな未来が待っているのか。団体初期から活躍してきた選手がベテランとなってきた中、新世代に期待することとは何か。経営者として、またクリエイターとして、“大社長”高木三四郎に聞いた。

(聞き手・橋本宗洋)

――DDTの特色としては、複数ブランド化もありますよね。東京女子プロレス、DNA、ガンバレ☆プロレス(大家健代表)、プロレスリングBASARA(木高イサミ代表)と。


高木 これはね、DDT単体で大所帯になると、人間関係とか上下関係とか、いろんな理由で才能を発揮できない人間がいるんですよ。まあまあいるんです。逆に環境が変わって力を出せるようになる人間もいますし。


――まさに大家選手は、ガンプロの代表になることで別の魅力が出てきた感じがします。


高木 自分が背負うものができた時に、人間って覚醒するんだなって思いますよね。鳴かず飛ばずだった人間も、ポジションを与えたら思わぬ力を発揮するってことがあるんですよね。マッスル坂井もそうですよ。もともと才能ありましたけど、団体を任せてみたら『マッスル』っていう凄いものを作ったわけで。サイバーエージェントも似てますよね。「新卒社長」って、新入社員に子会社の社長やらせたり。


――ポストに就かせることで成長を促すという。


高木 なんでもやらせてみなきゃ分からないですし、やっぱり新しい人材が出てこないとダメですからね。人気のあるジャンルっていうのは、お客さんが若返っていくもの。そのためには送り手側も若返らないといけないですよね。僕はプロレスをキャラクタービジネスでありクリエイティブ産業だと思ってるので、それはやっぱり若い発想が必要なんですよ。


――そうなるとリング上の試合、タイトル争いだけじゃなくて、クリエイティブ面でも新世代に出てきてほしいと。


高木 いろんな人間に任せてみたいですね。たとえば、しょっちゅう海外遠征してる入江茂弘に予算を与えて「このお金で自分が選んだ外国人にオファーしてみてよ」とかね。石井慧介は四天王プロレスが大好きなんで、じゃあそのスタイルを追求する団体やってみる? とか。竹下幸之介だって、クリエイティブな能力はあると思うんですよね。


――高木さんは社長として「任せてみる」タイプですよね。「そんなんじゃダメだから俺がやる」とか「俺がやったほうが早い」じゃない。


高木 「任せてみる」どころか、僕は基本、丸投げですから(笑)。ちょっとしたアドバイスくらいはしますけど。人に任せて、それを観客として見て笑っていたいタイプなので(笑)。(赤井)沙希ちゃんも凄く面白いものが作れそうな気がしてるんですよね。独自の感性がありそうじゃないですか。そういう若いクリエイターを作っていかないと。いつまでも男色ディーノ、マッスル坂井に頼ってばかりじゃダメですから。


――それが未来につながると。


高木 若いクリエイターが出てくると、今度はディーノとか坂井も新しい力を出してくるかもしれない。たとえば一回引退してスーパー・ササダンゴ・マシンになった坂井が、今『マッスル』をやったらどうなるのかなとか。ササダンゴとしての新団体はどうだろうとか。大きい会場での興行を任せてみたらどうなるかとか。そういう考えもありますね。


――そうしていく中で、10年後のDDTも見えてくるわけですね。


高木 僕の中では、ある程度は見えてるんですけどね。いま考えてる新しい事業計画としては、3年後に東京ドームに到達すると。これは路上プロレスじゃなくてきちんとお客さんを入れた興行として。3年後って、つまり2020年なんですよ。オリンピックの年に東京ドームに到達できるための事業計画っていうのを、いま考えてますね。そこは経営者としての目線で。それに向けて、あるいはもっと先に向けて、新しいクリエイター作りも進めていかなきゃいけないですね。だって、男色ディーノも10年後は50歳ですよ(笑)。


――そうなっちゃいますねぇ(笑)。


高木 50歳の男色ディーノってねぇ。まあ見てみたくもあるんですけど(笑)。逆に今のチャンピオンの竹下は、10年後でも32歳。その時のDDTがどうなってるかも大事だし、そこまで若い選手が夢を持って上がれるリングにしていきたいですね。


――少なくともリング上の闘いという意味では、若い力は凄いですよね。12.24後楽園も、メインは竹下選手のKO-D無差別級王座防衛戦です。相手はコルト“Boom Boom”カバナ。アメリカの個性派かつ実力者ということで、ある種の試練ですね。


高木 竹下は今年、ベルトを巻いて、いろんな選手とやってきて、自分のブランドみたいなものを築いてきてると思いますね。そういう竹下がいて、ライバルに遠藤(哲哉)がいてっていうのは未来を考えた時にも頼もしい。


――今回、遠藤選手は佐々木大輔選手と組んでハラシマルフジ(HARASHIMA&丸藤正道)のタッグ王座に挑戦します。


高木 竹下がメイン、遠藤がセミで、そのパートナーが今年、大活躍してきた佐々木。こういうメンツになったのもドラマチックだなって思いますね。佐々木、遠藤の対角にはずっとDDTを支えてきたHARASHIMAもいますし。


――今のDDTと未来のDDTという感じですかね。


高木 ただ僕は、こういうカードがあると「じゃあ竹下、遠藤より上の世代はどう出るんだ? 何を考えてるのかな?」っていうのが気になるんですよ。竹下、遠藤より上でHARASHIMA、ディーノ、坂井より下の世代。入江とか石井、高尾蒼馬といった選手たちですよね。


――間に挟まれちゃった形ですよね、今は。


高木 飯伏幸太、ケニー・オメガ、HARASHIMAの時代があって、本来ならその次は彼らだったんだけど、竹下が天下を取った。じゃあ入江たちは天下を取り損ねた男たちなのか。入江が海外に行ったり、石井と高尾が全日本プロレスでタイトル争いをしていたら、竹下と遠藤がガーッと伸びてきたわけですよ。それをどう思ってるのかなって。そういうところも含めて、選手それぞれが思い描いてる部分も見ていきたいですね。

僕は「天下を取り損ねた」人間にも凄く興味があるんですよ。選手それぞれいろんなドラマがあるし、お客さんにもそれを見てほしい。それはプロレスとして直球というか王道なものでもありますし。


――高木さんとしては直球で世間と勝負したいという気持ちもあるわけですよね。まっすぐ世間に斬り込むというか。


高木 そうですね、あくまで世間とかお茶の間とか、そういうところを意識していきたいです。


――DDTってサブカルっぽく見られますけど、意外にそうじゃないんですよね。


高木 きっかけとしてはサブカルもありだと思うんですけど、やっぱり理想は「大衆文化」なんですよ。

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