「カチンときた」「箸休めなんかさせねえ」スーパー・ササダンゴ・マシン、“朝青龍1000万戦”裏話を語る

昨年大晦日にAbemaTVで配信されたスペシャル企画『朝青龍を押し出したら1000万円』の中で、異色の挑戦者として話題となったのがスーパー・ササダンゴ・マシンだ。

(1.3DDT後楽園でアイアンマンヘビーメタル級王者となったササダンゴマシン)


DDTプロレスで活躍するササダンゴは、朝青龍相手にも普段どおりパワーポイントを使ったプレゼンで、フライング・ボディアタックを仕掛けるという作戦を披露。結果としては敗れたものの独自の存在感で番組を盛り上げた。


しかもササダンゴは、DDTの年明け1戦目、1月3日の後楽園ホール大会でアイアンマンヘビーメタル級王座を奪取。これは24時間365日、いつでも挑戦できるというタイトルで、ササダンゴは試合後の王者コルト・カバナに挑戦を表明すると、朝青龍に決められなかったフライング・ボディアタックに成功。3カウントを奪ってみせた。


これは“朝青龍1000万”効果なのか。ササダンゴに朝青龍戦を経ての心境を聞いてみた。


「最初は一般挑戦者としての応募で、出れたらおいしいなと。去年は前半、心臓のトラブルで欠場してて、復帰してからも自分的にはパッとしないなって感じがあって、最後にインパクトを残したいと。実際、プレゼンして作戦を発表して挑戦するっていう、普段プロレスでやってることを相撲でやったら面白いなって思ったんですよ。しかも日本のプロレスのルーツって、アメリカのプロレスと相撲。ミックスカルチャーじゃないかと」


その狙い通りに出場が決まったわけだが、事前の撮影で「ちょっとカチンときたことがあった」という。


「煽りVを撮りにスタッフさんが道場に来てくれたんですけど、その時に出場者のプロフィールを見せてもらったんですよ。備考欄には〈インテリ〉とか〈クレイジー〉〈長身〉みたいなことが書いてあって。で、自分の欄には〈変化球〉〈箸休め〉ですよ。これはねぇ……」


番組内のプレゼンでも言及されていたが、自分で言うのはいい。気心の知れたスタッフにそう扱われるのも構わない。しかし初めて仕事をするスタッフにもそういう扱いか。俺は「箸休めにどうですか」なんて気持ちで応募したつもりはないぞ。それが、ササダンゴなりのプライドなのだった。


「なんかね、“どうせ時間帯的に(紅白の)安室の裏でしょ”みたいなのが透けて見えちゃって。箸休めなんかさせねえぞと。誰よりも盛り上げて、誰よりも視聴数、コメント数稼いでやるって思いましたね。だからまず、朝青龍さんと闘う前にスタッフさん、他の挑戦者との闘いですよ」


しょせんプロレスでしょ。なんかお笑いなんでしょ、適当にやってんでしょ。そんな、いかにもありがちな世間の目との闘いと言えばいいのか。気が付けばササダンゴはプロレスやDDTを背負うくらいの気持ちになっていたそうだ。

(朝青龍戦が伏線となったフライング・ボディアタックが見事に決まる)


実際の取組では、立ち合いでフライング・ボディアタックを狙いかける場面があった。しかしこれは不発。


「あれはちょっとスカされましたね。つまり朝青龍さんが立ち合いで変化してるんですよ。……そこに物言いをつける気はないですけど。そこから、これもプレゼン通りに片足タックルにいきまして。まあ組んだらビクともしませんでしたけどね。でもフライング・ボディアタックをスカされたっていうのは朝青龍さんにプレゼンが伝わってたってことですからね。届いてた。意識されてたわけですよ」


組み合う中で、ササダンゴのマスクが外れてしまうアクシデントも。これは朝青龍が事前に予告していたことでもあった。これは結果的に「ラッキーだった」とササダンゴは言う。


「マスクが取れたおかげで視界が広がったし呼吸も楽になりましたから。マスク着けてると高地トレーニングしてるようなもんですからね」


マスクが外れたところで、プレゼンで予告されていた「マスクの下は内○牧子」説は否定されてしまったわけだが、ここで両者が睨み合いを展開。そのことで闘いは新たなフェイズに突入することになったとササダンゴは語っている。


「本来であれば、あそこでもう一回フライング・ボディアタックにいくべきですよね。でもいったん目が合っちゃった以上は真正面からいくしかなかった(笑)。ぶつかり稽古じゃないですけど、それこそ変化球がきかない状況ですよ。一人の対戦相手として出し切るしかないっていう」


プロレス界においては、マスクマンがマスクを剥がされることは“死”を意味するという。ササダンゴの場合はファン全員がその正体を知っているわけだが、それはそれとして朝青龍戦で“死と再生”を経験した気がすると語っていた。またササダンゴはふだん飯伏幸太、石川修司というトップレスラーと練習しているのだが、それがここで活きたとも。


「リハビリもかねてとはいえ、なんでこんなきつい練習してんだろうって思うこともあったんですけどね。今回、復帰してから忘れかけてたものを取り戻せた気もしますよ。生まれ変わったというか。なんか凄いよかったなぁ。得るものが大きかったです。番組でも言いましたけど、逆に1000万円あげたいくらい」


自分の出番が終わった後も、ササダンゴは関係者エリアで最後の取組まで見ていたという。


「藤田晋社長もそこにいて。ほめられちゃいましたよ(笑)。最後の朝青龍対琴光喜、純粋に面白かったですよね。相撲の新しい形というか。よく言われてる〈新日本相撲協会〉ってこれなんじゃないのかって。今回はそのプレ旗揚げ戦に出させてもらった気がしますね」


ちなみにササダンゴは、古くからの仲間である大家健(ガンバレ☆プロレス)と収録を見ていたそうだ。


「大家さんも挑戦者として応募してたんですけど、たまたま話題性なのかなんなのか、僕が選ばれて。だから大家さんにも見てほしかったんですよ。大家さんといると落ち着きますしね。あとはまあ、大家さん『年越しプロレス』で試合が組まれてなかったですから」


なおアイアンマン王座奪取については「立ち合いで変化しないプロレスラーのすばらしさ」をあらためて実感したそうである。


文・橋本宗洋

Photo:(C)DDTプロレスリング

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