サイプレス上野、大日本プロレスを語る「昔は客がほんと、俺たちしかいなかった(笑)」

音楽業界でも屈指のプロレスマニアとして知られるラッパー・サイプレス上野は、とりわけデスマッチへの愛情と造詣が深い。そんな上野が大日本プロレスの横浜文化体育館大会(12月17日)を観戦。メインのデスマッチヘビー級選手権を中心に、大会について語ってもらった。

(聞き手・橋本宗洋)

試合を終えたばかりの竹田と記念撮影。


——上野さんは大日本を長く見られてますよね。

上野 めちゃめちゃ長いっすね。俺が学ラン着てる頃なんで旗揚げ当時からじゃないっすかね。IWAからの流れっていう感じで、デスマッチ団体の流れを受け継いでるなと。


——上野さんが好きなラインですよね。

上野 客がほんと、俺たちしかいなかった(笑)。サラリーマンが寝てたりして。そこからですからね。


——今は毎年両国国技館でもっていう。1994年旗揚げですから20年以上の歴史があって、かつては本間朋晃選手も活躍してました。

上野 今日、試合で「摩周」が出たじゃないですか(本間&山川竜司のタッグが得意としていた合体技)。あれに反応してるファンがいてグッときましたよね。「あ、オールドファンもちゃんと来てる」って。


——メインでデスマッチヘビー級王座を防衛した武田誠志選手も、上野さんがずっと見てきた選手で。

上野 俺は基本的にプロレスラーと個人的な付き合いはしないようにしてるんですよ。ただ竹田選手は同じウェアブランドにサポートしてもらってるんですよね。ROLLING CRADLEとリバーサルっていう。その縁で、総合格闘技の試合の祝勝会に行ったりはして。でも俺からしたらレスラーって憧れですからね。


——「仲いいよ」っていう感じは周りにも出したくないと。

上野 本人にも、今日見に行くって言ってないですしね。俺が来てるってことを、ちょっとでも意識してほしくないんですよ。それは自分のライブでもそうだから。今回みたいに取材でもなければチケット買ってますし。


——できる限り普通の観客でいたいという。竹田選手はこれまでもずっと活躍してたんですけど、今年ついにデスマッチヘビー級のベルトを巻いて。今回は年間最後のタイトルマッチで防衛しました

上野 いや、素晴らしかったですね。挑戦者の高橋(匡哉)選手がヤバい流血してましたけど。いい攻防だったし、竹田選手が高橋選手のTシャツをハサミで切り裂いたシーンとかもよかったですね。なんかユーモアがあるっていう。


——デスマッチは凄惨なだけじゃないんですよね。

上野 竹田選手の魅力が出てましたよ。やっぱり竹田選手がチャンピオンになるのを待ってたファンって多いと思うし、そういう意味ではピープルズ・チャンピオンじゃないですか。正直、今回の大会へ全部が全部よかったかって言ったら、そうではないと思うんですよ。マッチメイク的なところとか。


——なるほど。

上野 (星野)勘九郎選手がジュニアヘビーのベルトに挑戦するんだから、今日はチャンピオンの忍選手と前哨戦があってもいいんじゃないかとか。その忍選手はノムタク(野村卓矢)と6人タッグで組んでたじゃないっすか。ノムタクはヘビー級に上げるって宣言してるんで、その布石になる純ヘビー級のマッチメイクでもよかったのかなぁと。


——ヘビー級挑戦っていうのをきちんとフィーチャーして、という。

上野 そういうことも考えながら見てましたね。でも後半戦、特にメインで竹田選手が会場の空気を全部持ってったっていうね。


——もの凄い血を流して、ド迫力の闘いをやりつつもユーモアがあって。ハサミはさすがに……って思いますけど、それで観客がドン引きしかけたところでTシャツを裂くっていう。

上野 ヤバさが面白さに転換するんですよね。よくできてるって言っちゃうとアレですけど。


——序盤、高橋選手に「Tシャツ脱げ!」って野次ってたお客さんもいましたよね。服でダメージを軽減するなと。でもそれを竹田選手が伏線に使ったところもあって。

上野 間違いないっすね。段階踏んでやってる。頭よすぎですよ。


——伊東竜二選手の「おまえらだけじゃなく俺たちにも未来はある。グレート小鹿にだって未来はある」っていうマイクもうまかったですし、デスマッチファイターって総じて頭がいいですよね。

上野 しゃべりもうまいし。そういうところもデスマッチを見る面白さなんですよ。

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