「ベルトは強い者が巻く」 入江茂弘、DDT王座挑戦へ、王者・竹下幸之介の思いは

(4.1後楽園のメインで勝利し、王者・竹下と対峙した入江)

(C)DDTプロレスリング


宿命とも言うべきタイトルマッチが決定した。DDTの頂点であるKO-D無差別級タイトルマッチ。これまで11回の防衛に成功している王者・竹下幸之介に、入江茂弘が挑戦する。舞台は4月29日の後楽園ホール大会だ(AbemaTVにて生中継)。


近年、頻繁に海外遠征を行なって実力を高めてきた元王者・入江。そのためDDTのリングに登場する機会は減り、今年はリーグ戦「D王GP」にもエントリーされていなかった。そのことへの不満も匂わせていた入江は戦線離脱していたが、3.25両国国技館大会のメイン後にリングに乗り込み、竹下への挑戦を表明した。


4月1日の後楽園大会では、挑戦を阻止すべく立ちはだかった彰人とメインイベントで対戦。彰人の関節技に苦戦する場面もあった入江だが、持ち味であるパワーを存分に活かした闘いで勝利を収めた。試合後、入江はあらためて竹下に挑戦を要求。竹下、プロデューサーの男色ディーノともに認めたため、タイトル戦が決定することに。


「KO-Dは強い者が巻くベルト。僕が幸之介からベルトを奪います」と入江。記者からの質問は受け付けずにインタビュースペースを後にした。入江と彰人はともに名古屋のローカル団体出身。先輩・後輩の関係であり、今回はそんな2人が後楽園のメインで対戦したのだが、感慨や感傷は感じられなかった。


彰人曰く「昔、“名古屋で育った2人が後楽園のメインで試合ができたら痛快だね”って話をしたこともあったんですけど、今日はそのことは頭になかった」。ただ、「もっと大きな会場で、違う形でもう一回やりたい」とも。


「入江茂弘vs彰人は特別なカードのはずなのに、特別な何かが感じられなかった」と指摘したのは竹下だ。「グッとくる何かがなかった。でも、入江選手がそれをわざと作らなかったのかもしれない」。


竹下にとっても、入江は特別な相手と言っていい。2015年10月、両者は後楽園大会のダークマッチで対戦している。すでにDDTのトップレスラーだったのだが、人気投票企画であるDDT総選挙の結果を受けて「アンダーボーイズ」として本戦前の出番となったのだ。自分たちが評価されない悔しさ、あるいは歯がゆさや不甲斐なさもあったのか。竹下は「あの試合の一日たりとも忘れたことはない」と語っている。


だからこそ、入江にはライバル心も共感もある。「入江さんは強くなってるけど、見えないものと闘ってる気がしますね。目の前の敵じゃない何かと闘っている」と竹下。そしてそれは「僕もそうなんで」。


社長である高木三四郎や初期からのメンバーである男色ディーノ、マッスル坂井(スーパー・ササダンゴ・マシン)たちは、これまでにない“文化系プロレス”を作り上げ、団体を大きくしてきた。そのDDTを愛する一方で、竹下は迫力や闘いとしての見応えという部分でも他団体を超える試合をすべく、体を張り続けている。

(体重を乗せたパワフルな攻撃を得意とする入江だが、グラウンドのタズミッション(片羽絞め)もフィニッシュを狙える技の一つ)

(C)DDTプロレスリング


入江は、自分の正当性を主張するためにも勝つしかない。しかし竹下には「(自分が防衛を重ねてきた間)リングでバンプ(受身)取ってないヤツが何を言っても口だけ」という思いもある。


「今のDDTは自分が好きだったDDTではなくなってしまった」と入江は言う。一方の竹下は「僕は“竹下幸之介のDDT”を作れていると思っている。それをもっと大きくしたい」と考えている。立場が違い、思いも違う。しかし2人はともに「見えない何か」と闘っている。高木三四郎とも男色ディーノともマッスル坂井とも違うDDTイズムで観客を魅了することができるか。それが4.29後楽園のメインにおける大きなテーマになるだろう。


文・橋本宗洋

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