「須藤凜々花みたいにゲスト枠でチヤホヤされたかった」“クビドル”伊藤麻希、男子との試合で壮絶玉砕も涙の“アイドルレスラー宣言”で魂を見せる

(インタビュースペースで、涙とともに決意を語った伊藤)


東京女子プロレスを主戦場に活躍、今年1月4日の後楽園ホール大会では男色ディーノと名勝負を展開した伊藤麻希が、ここにきてさらに評価を上げている。


もともとアイドルグループ・LinQのメンバーで、昨年卒業。グループをクビになったとして“クビドル”を名乗る伊藤は、ハイテンションな闘いぶりでプロレスラーとしての圧倒的な適性を発揮している。


DDTのゴールデンタイム・レギュラー生中継大会「DDT LIVE! マジ卍」(AbemaTV)がスタートすると、伊藤は新世代のスターを発掘する「マジ卍トーナメント」にエントリー。男子選手に一人だけ女子選手が加わる形での出場だった。


4月10日の1回戦、伊藤は大石真翔と対戦。5分一本勝負、時間切れの場合は視聴者投票で勝敗を決するという特別ルールの試合で5分間闘い抜き“投票勝ち”をつかんでみせた。体力やテクニックの面ではまだまだ新人だが、見る者に“伝える”力なら伊藤は一級品だ。


「どれだけ泥臭くても、泥水すすってでも優勝する」


一回戦突破後、そう語った伊藤の決意は相当なもの。4月17日の大会では、準決勝で梅田公太との一騎打ちとなった。今年に入って男子選手とのシングルマッチは3度目だ。


開始早々、伊藤は梅田のキックを顔面に直撃されてしまう。梅田は3月の両国大会でKO-D6人タッグ王座を獲得するなど上り調子。戦前から伊藤を「イロモノ」と断言し、試合でも手加減なしの打撃、投げを連発していった。


序盤からボロボロにされた伊藤だが、ひたすら粘ると雄叫びをあげながら反撃。ボディから顔面へと頭突きを決め、DDTへ。技の数は少ないが、そこにありったけの気合いを込めるのが伊藤のファイトスタイルだ。


今回も5分間、耐えれば視聴者投票で勝利の可能性が見えてくるところだったが、梅田は甘くなかった。背骨が折れるかと思うほどのキャメルクラッチで、伊藤は無念のギブアップ負け。タイムは4分24秒だった。

(梅田との試合はキャメルクラッチでギブアップ。あまりにも強烈な決まり方だった)

(C)DDTプロレスリング


試合後、インタビュースペースでの伊藤は、目に涙を浮かべてコメント。「試合では負けたけど、お客さんの心は掴んだ。だから負けたけど勝った!」といつも通りの強気な言葉を発した。また「女と男の壁はデカかった」としながら「プロレスのいいところは男女の差別がないこと。これからも誰とでも闘う」とも語った。


「マジ卍」では中継にプロレス初心者のタレントを“ビギナーゲスト”として招いており、第1回に最上もが(元でんぱ組.inc)、この第2回では須藤凜々花(元NMB48)が登場している。“元アイドルグループのメンバー”という点では伊藤も同じなのだが、この大会(番組)では「ゲストの売れっ子タレント」と「いち選手」というポジションだ。


「本当は、須藤凜々花みたいにゲスト枠でチヤホヤされる人間になりたかった。こうやってレスラーになったことは、まったく後悔してないわけじゃない。けど……伊藤はプロレスが好きだから。プロレスをしながらチヤホヤされたい!」


伊藤らしい、なおかつ腹を括った本音の“アイドルレスラー宣言”だ。アイドルがプロレスをやるとなれば、誤解と偏見はつきもの。そんな中で伊藤は本気でプロレスに取り組み、なおかつチヤホヤされる望みも捨てない。“レスラーらしく”でもなければ“アイドルらしく”でもない。伊藤は「世界一かわいいのは?」「伊藤ちゃん!」のコール&レスポンスとともに対戦相手を殴り、誤解と偏見を打ち砕く。今回の梅田戦でも、伊藤ファンは増えたことだろう。


文・橋本宗洋

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