“女子高生王者”小橋マリカとアプガ(プロレス)への期待感 東京女子プロレス「プリンセスカップ」のキーポイント

実力派からアイドル、怪奇派アイドル(?)にゾンビとキャラクターが濃い選手が揃っている東京女子プロレスの試合は、当然ながらエンターテインメント色が強い。ただ、だからといって勝ち負け度外視というわけでもなく、出世争いにはさまざまな思惑が入り混じる。

(左から坂崎、瑞希、小橋、ヒカリ、ミウ。坂崎と瑞希のスピーディでテクニカルな攻防は必見)


毎年恒例のトーナメント「東京プリンセスカップ」も、選手の現状が厳しく“査定”される場と言っていいだろう。人気もキャリアも関係なく、その時点での力量、選手としての価値が試される。


5回目となる今年は史上最多、16名が参戦(これまでに自力勝利を記録している選手)。今年1月にデビューしたアップアップガールズ(プロレス)のヒカリとミウは最後の出場枠「Take a chance」枠をかけて予選マッチを行なう。


このアプガ(プロレス)が入るブロックはカードごとに力の差がありそうだが、読めない部分も多い。そのカードは坂崎ユカvs瑞希と小橋マリカvsヒカリorミウ。坂崎と瑞希はどちらも小柄だがスピーディなスタイルに定評があり、両者のマッチアップはハズレなしと言っていい。


ラッパーのサイプレス上野もファンだという“魔法少女”坂崎は、東京女子プロレスの第3代シングル王者にして初代タッグ王者。人気も実力も、団体内で最も高い部類に入る。シングル、タッグ2冠を達成したのはこれまでに坂崎と才木玲佳しかいない。


ただし、東京プリンセスカップ優勝は未経験。ここであらためてトップの座を貪欲に狙っていきたいところだ。5月23日のトーナメント組み合わせ抽選および記者会見では「ぴょんす(瑞希)とはまだ決着がついてないので、しっかり仕留めたい」とコメント。その一方で2回戦については「(小橋、ヒカリ、ミウ)3人まとめてかかってくればいいよ~」と余裕を見せた。


坂崎と対戦する瑞希も、会見での楽しそうな姿が印象的だった。坂崎とはライバルでありつつ仲もいいだけに、後輩たちのコメント中も2人でワチャワチャとふざけっぱなし。東京女子プロレスらしい光景だ。

(後輩たちがコメントする中、はしゃぎっぱなしの坂崎と瑞希は甲田哲也代表に目で怒られていた)


昨年、フリーとして参戦してきた時には慣れない場所で不安そうだった瑞希。しかし現在ではファンからも選手からも、あざとく可愛い小悪魔っぷりが溺愛されている。DDTグループの“大社長”高木三四郎は、試合に加えサインやチェキなどの物販での「神対応」も絶賛。伊藤麻希との「伊藤リスペクト軍団」でアイドル活動も行なっている。


もはや完全に団体になじんだと言える状況だが、だからといって埋没したくはない。「可愛い」、「うまい」からトーナメント優勝、タイトルホルダーへの道を進めるか。これまでシングル、タッグともタイトルマッチで勝利できていない瑞希。このトーナメントは優勝候補としての出場であり、同時に正念場だろう。同じことは坂崎にも言えるはずだ。


「ユカさんとは何回か試合して、ワクワクするし楽しいけどまだ勝ててない」と言う瑞希。2回戦に関してのコメントは、坂崎を真似て「3人でかかってくればいいよ~」。これは余裕か、それだけ坂崎戦に集中しているということか。


会見での坂崎、瑞希に「人の話全然聞いてないでしょ」と突っ込んだのが小橋。中学生でデビューし、受験による欠場期間を経て“JKプロレスラー”に。以前はそれこそ勝負論度外視、“いるだけでいい”タイプの存在だったが、NEO美威獅鬼軍の沙希様に挑み続けることによって大きく成長を果たした。


5.3後楽園ホール大会では才木と組んでタッグ王座を奪取、今や“JKチャンピオン”である。1回戦の相手はアプガ(プロレス)対決の勝者。「私は2年以上先輩なので、しっかり勝ちたい」と小橋は語った。後輩の存在が自覚と成長を促した面もあるはずで“受けて立つ”構図の試合でどんな闘いを見せるのかは興味深い。


実は小橋は、タッグ王者ではあるがシングルマッチで勝ったことがまだない。このアンバランスさもポイントだ。「シングルでの実力はまだまだ」で終わるのか、勝ち上がってトップの一角に入っていくのか。小橋が坂崎vs瑞希の勝者を下すようなことがあれば、優勝争いも団体の勢力図も大きく変わることになる。


予選マッチで対戦するミウとヒカリは、グループ内ライバルと言える関係。アイドルとプロレスの完全同時進行で活動するアプガ(プロレス)、そのデビュー戦のタッグマッチで勝ったのがミウ、敗れたのがヒカリだった。シングル初対決ではヒカリが回転足折り固めで勝利しているが、その後ミウもカナディアン・バックブリーカーで勝ちシングルでの星を五分に。今回の対決を制し、トーナメント枠に参戦を果たせばグループ内の実績でトップとなる。


ただ先輩と対戦することも増えてきた現状では、グループ内での勝ち負け以外の結果も重視される。先輩レスラーと闘ってどこまでできるか、そして結果が出せるか。


この春、高校を卒業したミウは「マリカさんを同じ年代として意識してきました」と言い「アップアップガールズ(プロレス)をもっと広められるように、のし上がっていきたいです」とも。ヒカリは「トーナメントは先輩後輩関係なくぶつかり合う厳しい闘い。今まで以上に勝敗を意識する闘いになると思います。自分をもう一段階レベルアップさせるためにも、この1枠を絶対に狙いたいです」。


後輩たちの初々しいコメントに、坂崎はさっそく「話が長いよ〜」と“かわいがり”。力量で言えば、このブロックを抜け出すのは坂崎か瑞希になるだろう。2人は優勝してもおかしくない力を持っている。だが、番狂わせを起こしそうな存在という意味では小橋はトーナメント屈指の存在。なおかつ、そんな小橋をアプガ(プロレス)のどちらかが食ってしまってもおかしくはない。


“順当”も“大荒れ”も充分ありうるのがこのブロック。小橋、ヒカリ、ミウはトーナメントを通じて大きく化ける可能性もある。


トーナメント1回戦、全対戦カードは以下の通り。


〈6.3新宿村大会対戦カード〉

才木玲佳vs優宇

ハイパーミサヲvs沙希様

山下実優vs伊藤麻希

のどかおねえさんvsまなせゆうな

ミウvsヒカリ(Take a chance枠決定戦)


〈6.9新木場大会対戦カード〉

アズサ・クリスティvs辰巳リカ

中島翔子vs黒音まほ

坂崎ユカvs瑞希

小橋マリカvsTake achance枠


文・橋本宗洋

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