優勝賞金で「ガールズバー30軒行こうと思ってた」 トーナメントを制し王座挑戦、BASARA・中津良太がエースへの道を突き進む!

(優勝賞金を手にした中津。「飲みに行きたかったんすけどねぇ」と言いつつ、凱旋興行の資金にすることに)


DDTグループの中にあって「宴興行」(ドリンク飲み放題付き)など独自のスタンスで活動しているのがプロレスリングBASARAだ。


代表を務める木高イサミを筆頭に、他団体のデスマッチで活躍する選手も多い。加えて自分をアメリカ人だと言い張る“BASARA最強外国人”トランザム★ヒロシがインドでヨガ修行に取り組むなど、所属レスラーは野放し状態。男臭く、バカバカしく、なおかつ熱い、少年マンガの世界観がBASARAの魅力と言える。


そんなBASARAの中で、イサミに続く“主人公感”を持っている選手として期待されているのが中津良太だ。DDTの若手ブランド・DNAから志願して移籍。ヤンチャでふてぶてしくも明るい(そして下ネタ完全対応の)キャラクター、真っ向勝負が身上のファイトスタイルで評価を上げてきた。同じ少年マンガでも、イサミがジャンプなら中津はチャンピオンといったムードだ。青年誌の可能性もあるが。


昨年は後楽園大会のメインでタイトルマッチを経験。今年は関根龍一との「騎馬隊」でタッグトーナメント優勝を果たし、さらにシングルでも「頂天~itadaki~」トーナメントを制覇してみせた。

(打撃主体のゴツゴツした試合ぶりが中津の真骨頂。FUMA戦でもこれで活路を見出した)


決勝戦が行なわれたのは、7月12日の新宿FACE大会だ。中津は1回戦で藤田ミノル、2回戦で関根、準決勝ではヤス・ウラノと先輩レスラーを倒して勝ち上がってきた。特にウラノ、藤田というキャリア豊富なフリーの曲者から3カウントを奪ったのは大きい。


決勝も実績で上回るFUMAと対戦。序盤は場外戦で主導権を奪われたが、得意の蹴りを主体に反撃すると飛びつき腕十字、ジャーマン・スープレックスで互角の展開に。FUMAの関節技にも苦しめられたが、中津はフィニッシュを狙っての大技をことごとく返し、技を食らっても即座に反撃していく。最後はハイキック、バズソーキックと頭部への蹴りを集中。トドメの必殺技、相手の腕も固めて投げるVスライダーで3カウントを奪取してみせた。


優勝賞金50万円に関しては、戦前から「(タッグパートナーの)関根さんと飲みに行く」と語っていた中津。「自分で20万使って、残り30万は関根さんとガールズバー30軒行こうと思ってました」とのこと。しかし考えを変え、地元・京都での凱旋興行開催に向けた準備資金にしたいという。


チャンピオンベルトを巻いての凱旋を、という思いもある。「それが最高の親孝行になると思います」。現在、BASARAのシングル王座、前身のユニオンプロレスから続く「ユニオンMAX」はダブプロレスの谷嵜なおきが巻いている。


他団体に流出したベルトを取り戻すのも、トーナメント優勝者、つまり現時点でのBASARA最強レスラーである中津に課せられた使命だ。中津は試合後のリングで、9.21後楽園ホール大会での挑戦をアピールした。団体代表のイサミもこれを即決。「今のお前なら勝てる」と太鼓判を押している。

(イサミは自身の16周年記念マッチでノア・丸藤正道と組み日高郁人&藤田ミノルと対戦。敗れたものの思い入れのあるメンバーとの試合に感慨深げな表情を見せた)


キャリアで上回るレスラーを次々と下しての優勝に「一つの壁を超えられたんじゃないかと思います」と中津。自分でも変化や成長に手応えがあるという。しかし「まだ勢い(で勝っている)という部分もある」とも。「勢いを実力にするには、ベルトが必要なので。谷嵜なおきに勝てるかどうかで自分の実力、このトーナメントの意味が決まってくる」。


それは“ホープ”から“エース”になることができるかということでもある。中津のプロレスキャリアは、デビューから約4年となる今、大きなポイントを迎えているのだ。


BASARAではイサミが人気でも実績でも図抜けた存在。所属選手に対しては一歩引いたスタンスで接したり、あるいは叱咤激励したりという雰囲気で、イサミが本気でぶつかっていく“大きな敵”はあくまで外にいると見られてきた。


だからこそ、中津が新エースとして独り立ちすることが重要だ。中津がイサミをも脅かすようになれば、団体の活性化にもつながる。イサミからベルトを奪った谷嵜に勝つことには“至宝奪還”だけではない意味もあるというわけだ。


かつて、中津がBASARA旗揚げとともにDNAから移籍したのは、“DDTの若手”という枠に埋もれることをよしとせず、レスラー人生を自分の力で切り拓こうとしたからだろう。谷嵜戦は、その野心が結実するか否かの大勝負だ。


文・橋本宗洋

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