「執着心があるのはプロレスだけ」「私が主人公になるようにできてる」伊藤麻希が語った、自信と確信

(試合中おなじみの光景。コーナーで「世界一かわいいのは?」「伊藤ちゃん!」のコール&レスポンスから相手を殴っていく。殴る前にこの笑顔)



気合いと根性があふれ出るようなファイトと感情むき出しのコメントで人気が高まる一方のプロレスラー、それが伊藤麻希である。もともとはアイドル(現在も)、しかし他のどのジャンルよりもプロレスが向いていた。主戦場・東京女子プロレスの後楽園ホール大会(8月25日)では、“筋肉アイドル”才木玲佳とのタッグで坂崎ユカ&瑞希と対戦する。空位となったTOKYOプリンセスタッグのベルトをかけて闘う王座決定戦だ。大一番を前にベルト、そしてプロレスへの「執着心」を伊藤が語ってくれた。


(文・橋本宗洋)


――伊藤さんは5月に「DDT LIVE! マジ卍」で、その大会中に獲られたとはいえ一度はアイアンマン(ヘビーメタル級)のベルトを巻きましたよね。あれはどんな経験でした?


伊藤 いや、あれは関係ない(笑)。


――ノーカウント?


伊藤 1時間で終わっちゃったから。1週間くらい守ってたらまた違うんでしょうけど。あれはノーカン。普通の媒体だったら都合よく「ベルトも獲りました」って言っちゃうんですけど、こういう場ではちゃんと言いますよ。あれはノーカン。


――あれがあるんで、今回勝っても「伊藤麻希、初戴冠!」って書けないのが厳しいとこなんですけど(笑)。


伊藤 あぁ~、まあねぇ(笑)。でもあの時って、前回タッグのベルトに挑戦して負けた直後で。一瞬でもベルト獲って精神的に落ち着いたっていうのはありますね。5月のタッグ王座戦は現実を思い知らされた部分もあったので。一瞬ですけどアイアンマン王者になって「自分はベルトを巻くほうのレスラーなんだ」っていうのは確信しました。


――少なくとも「一生、ベルトには縁がない」みたいなタイプのレスラーではないと。


伊藤 そう、そこだけ答えをもらったなって。それがあるから今回もベルトに執着するし。


――「結果よりもインパクト」みたいに考えていた時期もあったと思うんですけど、今は執着という言葉を使うくらいベルトがほしいわけですね。


伊藤 それは1回巻いちゃったし。あとファンが「伊藤はプロレスの神から愛されてる」みたいなことをめちゃくちゃ言ってくれるんですよ。それで自分も「確かにそうだよな」と思って。


――「どうも私はプロレスの神に愛されてるっぽいぞ」と。


伊藤 だったら(ベルト)目指そうぜって。自分にちょっとでも才能があるんだったら、それは最大限に頑張りたいですよ。


――確かに伊藤さん、レスラー向きだと思いますね。ちなみに「プロレスラーかくあるべし」みたいな信念はありますか?


伊藤 ありますけど「どうだ、これがプロレスラーだ!」みたいに振舞ったことはないですね。その時思ったことを言って、やって。結果、それが広まっただけなんですよ。


――伊藤リスペクト軍団のTシャツの背中のところにも「価値のある負けは勝ち」といった名言が書いてありますけど、あれはどうやって選んでるんですか?


伊藤 あれはこれまで言ったことで反応がよかったやつ、面白がられたやつですね。それ用に自分で考えるってことはしないです。それが響かなかったら怖いんで……。


――すべて結果しだい。


伊藤 カッコつけて、狙ってやってそれが当たるんならいいですけど、それってバレますもんね。


――プロレスの時と他の仕事の時でキャラクターの使い分けもしないですしね。


伊藤 まったくないです。してないしてない。アイドルとしてキャラを作りすぎて鬱になったことがあるので、もうそういうことはしないです。できないものはできないから。素じゃないと無理ですよ。


――素の状態でプロレスの神に愛されてるってことになりますよ、じゃあ。何にも飾らずにここまできたっていう。


伊藤 いや、ここまでっていってもそんなにまだ。何か達成したわけじゃないんで。


――やっぱりベルト獲りたいし、あとプロレス大賞の新人賞も目標に挙げてましたよね。


伊藤 難しいなぁとは思うんですよ。だってまだベルトも獲れてないのに。新人賞なんてなおさら難しいじゃないですか。でも新人扱いのうちに獲りたいですよねぇ。


――ちなみに他の仕事に関しての目標はどうですか?


伊藤 「絶対こうなりたい!」っていうのはないです。ホントに素の伊藤でやってるっていうだけで。舞台に出てもそんなに「女優魂!」みたいな感じでもなく。執着心があるのはプロレスだけなんですよね。


――レスラー魂はあると。


伊藤 自分に合ってるなって。年に1回くらい「全然向いてねえ!」って思う時もあるんですけどね。


――8.25後楽園のタイトルマッチは、他の選手の実績からすると伊藤さんの頑張りがカギでしょうね。


伊藤 そうなんですよ。伊藤にかかってきちゃう、全部。そういうプレッシャー、好きなんですよ。


――ほう。


伊藤 「結局、私なんだ」って。


――私がポイントだぞと。


伊藤 私が主人公になるようにできてるんだなって思いますよね。

(8.18名古屋大会。才木玲佳、アップアップガールズ(プロレス)ミウと組んだ伊藤は、ナチュラルにセンターポジションへ)


――なるほどなぁ。ちなみに8.18名古屋大会でタイトル前哨戦があった時、6人タッグで試合前も試合後も伊藤さんがチームの真ん中に立ってたんですよ。あれは自分から?


伊藤 あっ、いや。そういうとこあるんですよ伊藤。なんだかんだ真ん中に行っちゃう。


――私はセンターが似合うんだなって感じですか。


伊藤 無意識にね。やっぱり主人公だから。


――リングでのポジションは人に決めさせないと。


伊藤 自分で決めます。いやだって、脇役なわけがないんですから。

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