才木玲佳とのコンビで敗れた伊藤麻希にも大コール発生!東京女子プロレス、新タッグ王者は坂崎ユカ&瑞希

才木玲佳&小橋マリカの王座返上によって空位になっていた東京女子プロレスのタッグベルト「TOKYOプリンセスタッグ」の新チャンピオンが決まった。

(逆エビ固めの競演を見せた才木&伊藤。試合には敗れたが見せ場は多かった)

(C)DDTプロレスリング


8月25日、後楽園ホール大会での王座決定戦で闘ったのは、坂崎ユカ&瑞希vs才木玲佳&伊藤麻希。8.4新宿大会でのシャッフルタッグトーナメントに優勝した坂崎&瑞希の「マジカルシュガーラビッツ」通称マジラビに伊藤が対戦要求したことで決まった一戦だ。


もともとユニット「伊藤リスペクト軍団」として活動してきた伊藤と瑞希。しかし坂崎とのタッグで結果を残し、楽しそうにしている瑞希を見た伊藤は「ずっと付き合ってた彼氏が他の女に乗り換えた気分」にもなったという(ちなみに実体験はなし)。


そんな伊藤が味方につけたのが才木だった。才木はパートナー・小橋の負傷欠場により王座を返上を余儀なくされた。その悔しさが力になると、伊藤が声をかけたのである。クビドルと筋肉アイドル。アイドル同士なのに、なぜか異色と言いたくなるタッグの実現だ。

(第4代王者となった坂崎&瑞希。そのチームワークと華やかさ、記者会見等での騒がしさは団体随一)

(C)DDTプロレスリング


抜群のスピードとテクニックを誇る坂崎&瑞希に対し、才木&伊藤のチームとしての力は未知数。それでも序盤、伊藤が瑞希を圧倒し「立ってこい!」と挑発する場面もあった。瑞希に限らず誰が相手でも「上から」なのが伊藤の不思議なところであり、強みでもある。


才木はそんな伊藤を抱え上げて武器のように振り回し、坂崎と瑞希を蹴散らしてみせる。また相手チームが得意とする空中殺法はがっちりキャッチ。2人まとめてブレーンバスターで投げ捨てる見せ場も。さらに伊藤と逆エビ固めの競演と息の合った攻撃も繰り出していった。


ただ、やはり連携ではマジラビが何枚も上手だ。飛びつきDDTという新技も披露して勝利への執念を見せた伊藤だったが、坂崎の魔法少女スプラッシュから瑞希のダイビング・フットスタンプという大技ラッシュを食らってしまう。フィニッシュは瑞希が伊藤に決めたキューティースペシャル。伊藤リスペクト軍団同士で勝敗がついた。


坂崎はこれでタッグ王座返り咲き。瑞希にとっては東京女子で初のタイトルとなる。坂崎は坂崎で中島翔子との正規タッグ「みらクりあんず」があるのだが、マジラビのタッグ力はそれに劣らないもの。この牙城を崩せるのはどのチームなのか。次期挑戦者選びの段階から、すでに難問かもしれない。


一方、試合後には敗れた伊藤にも観客から大コールが発生した。以前は話題性、インパクト重視で勝敗度外視のような存在だった伊藤だが、今はベルトまであと一歩のところまできている。運動神経やアスリートとしての能力はないかもしれないが、プロレスラーとしてファンの心を掴むセンスは超一流だ。

(試合後、瑞希との握手を拒否して睨みつけた伊藤。さらに突き飛ばしてリングを降りた)

(C)DDTプロレスリング


アイドルグループでセンターになることができなくても、プロレスでチャンピオンになる可能性はある。それも「世界一可愛いのは伊藤」と言い張ったままで。この日の伊藤は、ただ「頑張る」だけでなく的確な攻撃で「勝ちにいく」姿勢も光った。才木曰く「今日の伊藤ちゃんは頼もしかった」。その言葉に対し「だろうと思ったよ」と伊藤。


強気ぶりを見せつつも、インタビュースペースでの伊藤は悔しさで涙が止まらなかった。それだけ結果がほしかったということだ。


「あとちょっとだった! 伊藤は絶対にあきらめない!」と泣きながら吠えた伊藤は、伊藤リスペクト軍団のメンバー、タッグパートナーの瑞希を“越えるべき存在”ととらえ直したようだ。試合直後のリングでは瑞希との握手を拒否し、睨みつけた上に突き飛ばしている。


「(握手は)完全にナメられてるなと。アイツには絶対いつか勝たなきゃいけない。握手なんかしねえよ!」


プロレスにおける“勝負”の厳しさにあらためて直面した伊藤は、瑞希とのコンビ解消とも取れる言葉を残した。もともと試合が決まった段階で、伊藤リスペクト軍団の今後も白紙だと考えていたのだ。


瑞希もまた「伊藤さんがパートナーじゃなくても、こうやってベルトが獲れた。伊藤さんのことは嫌いじゃないけど、伊藤さんがやることがそれ(握手拒否)なら、私はそれでいいです」と言う。


滝川あずさとの連戦は別として、これまで伊藤には明確なライバルや因縁(物語)のある敵がいなかった。全方位に牙をむいてきたからではあるのだが、ここにきて“打倒・瑞希”は大きなテーマになったと言える。とはいえ瑞希も今回の戴冠をきっかけに、さらに飛躍していくはずだ。


かつて伊藤はレスラー人生を「ウサギとカメ」の童話にたとえ「カメはウサギに勝つことじゃなく、山の頂上を見てたんだ」と語っている。だが今、タッグという山の頂上にいるのは“ポッピングシュガーラビット”のキャッチフレーズを持つ瑞希だ。油断してくれないウサギに、歩みの遅いカメはどんな闘いを挑むのか。


文・橋本宗洋

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