「男と対等に勝負できないなんて思ってんじゃねえぞ!」女子プロレス界の横綱・里村明衣子、DDT王座獲得

“女子プロレス界の横綱”里村明衣子(センダイガールズプロレスリング)がプロレス史に残る偉業を達成した。

(男子選手が相手でもあくまで真っ向勝負だった里村。ディーノも「力負け」を認めた)

(C)DDTプロレスリング


8月28日の「DDT LIVE! マジ卍」(新木場1st RING)で、里村は「いつでもどこでも挑戦権」を行使し、KO-D無差別級王座に挑戦した。チャンピオンは男色ディーノだ。


女子の所属選手もいるDDTだが、基本的には男子団体。その頂点に位置するシングル王座に女子選手が挑戦したのだ。里村はこれまでにもイギリスで男子団体の王座を獲得、アメリカでは6人タッグトーナメントで優勝という実績があるものの、国内の団体となれば意味合いはさらに重いものになってくる。


女子選手が相手で“男色殺法”を封印したディーノは体重差を活かしたストンピングに寝技、さらに垂直落下式ブレーンバスターと厳しい攻撃を仕掛けてきたが、里村はまったく怯まず。ディーノの負傷箇所である右肩を狙った関節技と蹴りの連打を見せる。男子対女子という構図の特殊性を感じさせない互角の闘いは、脳天にカカトを叩き込むシャイニング・スコーピオで里村が勝利。KO-D無差別級史上初の女性王者が誕生した。

(KO-D無差別級史上初の女性王者となり、強烈なメッセージを発した里村)

(C)DDTプロレスリング


女子プロレスラーが男子団体の頂点に立つ。しかも他団体への王座流出だから事件なのだが、そこに不自然さはなかった。これまで女子プロレス界のトップ戦線で見せてきた実力、この日の闘いぶり、醸し出すオーラ。あらゆる意味で説得力抜群だったのだ。カッコよさや貫禄、存在感で里村を上回る男子選手が果たして何人いるか。それくらいのことを感じるレベルなのである。


勝因を「女子プロレスで培った、そこで生き抜いてきた私の強さです」と語った里村。ベルトを巻くと、世の中の女性たちに向けて強烈なメッセージを放った。


「もう我慢する時代は終わってんだよ! 男と対等に勝負できないなんて思ってんじゃねえぞ! 私は男でも女でも、強いやつと勝負してやる!」


またインタビュースペースでは、こんな言葉を残している。


「世間でも、女だからといって一歩下がったり我慢したり、そういう女性が弱音を吐くのを聞くことが多すぎて。だったら本腰入れて対等にやってみろと言いたかった。今日はそれを試合で見せたつもりです」


里村の勝利と言葉に勇気づけられた女性は多いはずだ。この試合を見た女子レスラーたちが「私もやってやる」あるいは「じゃあ私には何ができるだろう」と考えることで、業界はさらに盛り上がるはず。

(試合後、里村は次期挑戦者に入江茂弘を指名。しかし入江にはディーノとの因縁があり、9.23後楽園ホール大会でサバイバル3WAY形式での王座戦が決定)

(C)DDTプロレスリング


もちろんあらゆるスポーツで男子と女子が闘えばいいということではないが、プロレスというジャンル、里村明衣子というレスラーの実力ならそれも可能だったのだ。優れたプロレス、優れたエンターテインメントには現実を投影し、象徴することで観客の心に深く刺さる力がある。


“嘆くより闘え”


エンターテインメント系プロレス団体のDDT、その頂点から里村が発したメッセージは強く、重く、そしてリアルだ。


文・橋本宗洋

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