「うるさい。潰したい。嫌いなんですよ、ああいうの」伊藤麻希、“冷たい怒り”!タッグパートナー・瑞希と一騎打ち

9月8日、東京女子プロレスの成増アクトホール大会が開催された。

(これまでタッグを組んできた瑞希を「潰したい」と無表情で言い放った伊藤)


この大会には、DDTドラマティック総選挙に立候補している“クビドル”伊藤麻希も出場。東京女子の会場では投票券が配布されないものの、夜には同会場でDDTの興行も。連続観戦するファンも見込まれるため、伊藤としてはインパクトを残したい試合だ。


伊藤が登場したのはメインイベント。前々回の名古屋大会と同じく“筋肉アイドル”才木玲佳、アップアップガールズ(プロレス)のミウとのアイドルトリオで山下実優&坂崎ユカ&中島翔子と対戦した。山下組は東京女子屈指の実力者チームで、アメリカ遠征で大きな経験を積んで帰国したばかりでもある。


試合は山下の蹴り、団体初期からタッグを組んできた坂崎&中島の連携攻撃が目立つ展開に。攻め込まれる場面が多かった伊藤だが、随所で頭突き、飛びつきDDT、逆エビ固めと得意技を繰り出していく。


山下はシングル王者、坂崎はタッグ王者であり、伊藤は8.25後楽園大会のタッグ王座決定戦で坂崎&瑞希組に敗れている。このトップどころ相手に結果を残せるかどうかが、今の伊藤にとっては重要なテーマだ。


伊藤とのタッグで王座を逃した才木が坂崎と中島をまとめてブレーンバスター、ミウは坂崎&中島の合体技をカットしてベアハッグとそれぞれが持ち味を出ていく。最もキャリアの浅いミウが粘りを見せたこともあって好勝負となり、東京女子の層が厚くなっていることを感じさせた一戦だったが、最後は山下が強烈な打撃の畳みかけからアティテュード・アジャストメント。ミウを仕留めた山下は「日本だけでなく世界から見られる東京女子プロレスに」と語った。トップ選手はトップ選手で、さらに志を高くし、視野を広げてもいる。


ただ、この大会では不穏なムードも残った。試合後、まずマイクでアピールを始めたのは伊藤。山下たちを「まあまあの出来だったな」といつものように上から評価すると、後楽園でフォールを奪われた瑞希とのシングルマッチを要求している。闘うことで「確かめたいことがある」と伊藤。これを受け、甲田哲也代表は9.22新木場1st RING大会での一騎打ちを正式決定した。

(リング上で対戦要求した伊藤に困惑気味だった瑞希だが、気持ちは闘って伝えるしかないと腹をくくったようだ)

(C)DDTプロレスリング


伊藤は昨年春、瑞希の東京女子登場1戦目で対戦すると「伊藤リスペクト軍団」を結成。試合でタッグを組むだけでなく大会中のミニライブ、CD発売、ファンミーティングとアイドルユニットとしても活動してきた。


だが今夏のシャッフルタッグトーナメントで抽選によりコンビとなった坂崎と瑞希がそのままチャンピオンになり、しかも王座決定戦では瑞希が伊藤に勝利。試合後の握手を拒否した伊藤は、瑞希を「いつか勝たなきゃいけない相手」とターゲットにする発言も。


そして今回の対戦決定である。瑞希は「ユカさんとタッグを組んでるけど、伊藤さんに対しての気持ちが変わったわけではないです。悪くは思っていないし、何もない。それが試合で伝われば」と困惑気味だ。同時に「闘うのは必然」というコメントもあり、気持ちは引けていない。やはりレスラーである以上、分かり合える場所はリングという決意があるのだろう。

(試合は山下&坂崎&中島が勝利。実力者がアメリカ遠征を経てさらにモチベーションを上げている)

(C)DDTプロレスリング


対する伊藤は、これまで喜怒哀楽すべての感情をさらけ出してきた。今回もアピール後に坂崎が「どういうこと?」と茶化すような言葉を挟むと怒りを露わにしたが、インタビュースペースでは瑞希について「うるさいなって。潰したいと思いました。嫌いなんですよ、ああいうの」と冷たく言い放っている。明らかに今までとは違うムードだ。


いつもなら「ナメんじゃねえぞオラ!」と叫んでいたはずだが、ここで伊藤が見せたのは取材陣に突き刺さるような“冷たい怒り”だった。


この数日前「DDT LIVE! マジ卍」で対戦した赤井沙希に「良くも悪くも対戦相手と戦ってない」と評された伊藤。“伊藤らしさ”に収まることが窮屈なのではないかという指摘も受けていた。


伊藤は表現やキャラの“使い分け”ができる器用なタイプではないから、この“冷たい”コメントぶりが赤井への返答というわけではないだろう。ただ相手によって、シチュエーションによって“いつもの伊藤”とは違う面が出てくることは分かった。


まだキャリア2年足らず。レスラーとしての“埋蔵量”はまだまだあるはず。これまではほとんどの試合で自分より強い相手と闘い、泣いたり叫んだりしながら必死に闘ってきた。負けても絶対に後ろ向きにならない姿がファンの心を掴んできた。


しかしこの瑞希戦は「負けたけどよく頑張ったよ伊藤ちゃん」で終わっていい試合ではないだろう。これからは後輩レスラーに胸を貸す試合も増えてくるはず。「勝って当たり前」と思われることだって出てくる。


相手が変わり、状況が変わった時に伊藤がどういう闘いをして、どんな表情を見せ、どんな言葉を残すのか。そこが楽しみなのである。9.22新木場大会の瑞希戦、総選挙期間中のDDTでの試合などで、新たな自分を掘り起こしていく伊藤の姿が見られるのではないか。


文・橋本宗洋

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