山本“KID”徳郁、次世代ファイターへの想い 「日本の格闘技は強い」「格闘技で食っていく素晴らしさを味あわせたい」

9月18日に亡くなった山本“KID”徳郁さんが残した大きな仕事の一つが、AbemaTVのリアリティ番組「格闘代理戦争」だ。


KIDさんたちレジェンド格闘家が推薦する若い選手たちが賞金とプロ契約をかけて闘うという番組で、そこには指導者としてのKIDさんの魅力も映し出されていた。番組スタッフの中心である、マッコイ斉藤さん(演出)、北野雄司さん(AbemaTV ゼネラルプロデューサー)にとっても、KIDさんは大きな存在だったという。

「KIDさんとは20年来の付き合い。『格闘代理戦争』も最初に手をあげてくれましたね。“新しいスターが生まれる可能性があるならぜひやりましょう。自分ができることだったら何でもやります”と。日の目を見ていない選手のためにっていう気持ちが本当に強い人でした」(マッコイ)


豪快なイメージがあり、また選手としては“ワル”っぽい雰囲気も魅力だったが、格闘技に対しては純粋で真摯な姿勢しかなかったという。


「最初にロケに行った時に話していたのは“ミーハーな社長さん達は、キャバクラとか連れ行って金使うぐらいなら、若い選手の体作りとか格闘の学校的な物への投資に使って欲しい。”と。KIDさんは派手なイメージがあったんですけど、全然そうじゃなかった」(北野)


若い選手にとって「格闘代理戦争」の優勝特典、300万円の賞金とプロ契約は破格の条件。しかしそれ以上に踏み込んだことまで、KIDさんは考えていたそうだ。


「プロ契約と賞金については“それだけあれば1年バイトしないで練習に専念できますね”とほめてもらいましたね。ただそれだけじゃなく、誰よりも“選手のためにお金を使ってほしい”とよく言っていました。他の推薦選手を含めて、番組中どうやってサポートしていくのかと」(北野)


「格闘技で食っていく素晴らしさを味あわせたい。バイトさせないで番組に集中させたい。ギャラが出るんであれば先に払ってあげてほしいと。本当に若い選手のことを気にかけていて、選手ファーストの考え方をする人なんです」(マッコイ)


マッコイさんによると、KIDさんはいつも「日本の格闘技は強いんだ」と言っていたそうだ。「今はアメリカとかに比べて環境が整ってないだけだからって言ってましたね。だからその環境を作りたいっていう思いが強かった」


その意味で、「格闘代理戦争」はKIDさんの思いと合致するものだったのだろう。


「番組を作っている側からすると、制作中は評判とか手応えがなかなか掴めないものなんですそういう中で、KIDさんはいつも“これは本当にいい企画”と言ってくれたし、2ndシーズンで(K-1編に続いて)MMA編をやろうと言ってくれたのもKIDさんでした」(北野)


「格闘代理戦争」は3rdシーズン、女子MMA編もスタートする人気シリーズになった。その根底には、若い選手を愛したKIDさんの魂が存在している。

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