女子プロレスを「外」にぶちこめ!アイスリボン・藤本vs世羅が後楽園、神田明神、山手線で3本勝負

(奉納プロレスを行なったこともある神田明神で連休最終日・白昼のバトルも)


10月8日のアイスリボン・後楽園ホール大会で、メインイベントやセミファイナルに負けない注目度を集めたのが第1試合だ。前座といえば若手というイメージも強いが、この日、11:30からのオープニング直後に対戦したのは藤本つかさと世羅りさ。


藤本は取締役選手代表にして団体の最高峰ICE×∞のベルトを持つチャンピオン。対する世羅もトップ選手で、現在は他団体の女子電流爆破王座「爆女王」を保持している。


メインイベントのタイトルマッチでもおかしくないカードを望み、さらに試合形式を当日発表としたのは藤本。試合に向けて「〇」「消」「東京プロレスラブストーリー」といったヒントを提示していた。


謎だらけの中で始まった第1試合、藤本は試合が3本勝負であることをリング上で発表。その1本目は通常ルールで行なわれ、藤本が8分26秒、ツカドーラで3カウントを奪った。序盤からクライマックスのような攻撃が続く怒涛のアグレッシブマッチで、この時点で疲労が見える藤本は「誰だ3本勝負って言ったの……」とやり場のない怒りを口にしつつ、2本目がエニウェアフォール、つまりリング上に限らずどこでも決着可能なルールであることを告げる。


これはデスマッチ経験のある世羅も望むところ。さっそく場外戦がスタートし、両者は客席、さらに会場ロビーへとなだれ込んでいく。観客が「いつ戻ってくるんだ!?」と疑問に感じ始めたであろう頃、藤本と世羅は会場入り口のエレベーターホールへ(後楽園ホールはビルの5階にある)。

(後楽園での闘いはもつれにもつれ、ついにはエレベーター搭乗。このままドアが閉まって観客置き去り)


藤本は到着したエレベーターに乗り込みつつ卍固めを仕掛け、レフェリーもろとも1階へ。そしてそのまま姿を消してしまっため、やむなく会場では第2試合をスタートすることになった。


後楽園で興行が進行する中、エニウェアフォールマッチの次なる舞台となったのは後楽園からも近い神田明神。「ラブライブ!」でもおなじみの場所で路上プロレスならぬ神前(?)プロレスが展開される。ここで硬い地面に得意技・エアーズロックで投げつけた世羅が一本取り返して最後の闘いへ。

(山手線一周の貸切車内で闘う藤本と世羅。本来であれば日常of日常な場所で卍固め)


3本目の戦場となったのは、なんとJR山手線。これはイベント「品川夢さん橋」の企画・山手線一周ノンストップ貸切列車に乗り込んでの一戦だ。つまり観客ありなのだが、その観客は特にプロレスファンでもないという特殊なシチュエーション。


車内を移動しながらの闘いで、藤本がサッカーボールキックを見舞えば世羅はアルゼンチン・バックブリーカー。時おり観客の力を借りて攻撃する場面もあり、そんな中で世羅が乗客の女の子を抱き抱えて離さない連れ去り事件未遂も発生してしまう。


車内にいたピーポくんに捕まったところを藤本ともども土下座して釈放に。二人は最後尾の車両でも闘い続け、世羅が吊り革からのダイビング・ダブルニードロップで3カウントを奪取。トータル2-1で世羅の勝利、後楽園から神田明神までで107分、山手線で65分という常軌を逸したロングマッチを制した。


しかもチャンピオンからの勝利だけに、ベルトをかけてのリマッチも必至だ。さっそく10月28日の両国KFCホール大会で選手権試合が行なわれることになった。また世羅はアイスリボンでの爆女王タイトルマッチも望んでいる。「プロレスでハッピー」をキャッチフレーズとするアイスリボンでの爆破マッチには異論もあるが、勝利によって一歩前進したと言っていいだろう。

(車内での女児誘拐疑惑でピーポくんに世羅が捕まる事態。取締役の藤本は頭を抱えるしかない)


神社でのプロレス、山手線でのプロレスはアイスリボン、さらには女子プロレスを「外」に広めるために重要な役割を持つ。と同時に、それが打ち上げ花火的な「コラボ企画」で終わらず、タイトル戦線に関係してきたことも見逃せない。アイスリボンでは「企画」も「本筋」に入ってくるのだ。


8月の横浜文化体育館大会で、藤本は「女子プロレス全盛期を取り戻したい」と宣言。それは団体としての新たな目標でもある。


神田明神での試合も山手線での試合も過去に行なっているアイスリボン。今回は後楽園ホール大会という大一番の「中」で始まり、それがそのままサプライズで「外」に飛び出した形だ。大会中、後楽園ホールのスクリーンには随時、外での闘いが中継されたが、何しろ長時間だけにメインイベントが終了しても第1試合が続行中という事態に。そうした「仕掛け」の楽しさがダイナミックに展開されたものとして、今大会および世羅vs藤本は記憶に残るものになるだろう。

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