生中継でリアル放送事故!スタッフから悲鳴 新王者“カリスマ”佐々木大輔、男色ディーノを棺桶葬

10月21日のDDT両国国技館大会、そのメインイベントはプロレス史に残るスリリングなものになった。KO-D無差別級選手権試合、王者・男色ディーノに佐々木大輔が挑んだ一戦だ。

(限りなく全裸に近い状態となったディーノに、佐々木は「男色殺法の向こう側」としてガーターベルト姿で対抗。これがDDTビッグマッチのメインだ)

(C)DDTプロレスリング


本人はこだわりがないと言っていたが、ディーノはDDTの“アイコン”と呼ばれる選手。これまで団体の躍進を支え、世間的な知名度からスポークスマンとしての役割も担ってきた。対する佐々木のあだ名は“カリスマ”だ。


といっても正統派の人気選手ではなく個性派中の個性派。言いたいことを言い、やりたくないことは絶対やらず、マイクアピールや試合後のコメントもひたすら無軌道で取材陣を閉口させる。佐々木率いるユニット・DAMNATIONのモットーは「群れない、媚びない、結婚しない」。最後の1フレーズがプロレスに関係あるのかどうか分からないが、その奔放さが“カリスマ”なのである。


一方で“大社長”高木三四郎が「あの世代で一番プロレスがうまいんじゃないか」と言うほどの技量の持ち主でもあり、またハードコア戦などバイオレントな闘いも得意だ。


“アイコン”ディーノに対して「ずっと同じことしかやってない。もう終わってんだから出てくるんじゃねえよ。俺が埋めてやる」と語っていた佐々木。試合ではディーノの男色殺法を食らいつつ、場外の椅子に座らせてエルボードロップでダイブするという荒技を繰り出す。一進一退、ハードかつ下ネタも満載の試合だ。


ディーノもテーブル上でのパイルドライバーという危険技を繰り出すと、攻撃ごとに自身のコスチュームを一枚ずつ脱いでいき、佐々木を三角絞めに捉えたところでついに一糸まとわぬ姿に。まさに「100%」、「生身」の闘い。これが戦前に予告していた「アルティメット男色殺法」だ。生股間を顔面に押し付けられた佐々木は「あの感触は一週間は抜けない」と苦い表情を見せた。

(中継スタッフから悲鳴が上がったというアルティメット男色殺法。生中継でこれをやってのけるディーノもタダモノではない)

(C)DDTプロレスリング


しかも、危機を迎えていたのは佐々木だけではなかった。この大会はAbemaTVなどで生中継されており、DDTのアイコンの“アイコン”部分が映ればリアルな放送事故となってしまう。ディーノはそんな危険をも冒し、自分自身が持っているすべてを全開にしたのである。ちなみにこの大会後の見逃し配信開始は「諸事情」により遅れ、翌日の記者会見では今林久弥APがメインの試合について「ご迷惑をおかけしました」陳謝している。


試合に話を戻そう。股間にパンツをかろうじて挟んだだけの状態でリバースえびぞりジャンプ(ムーンサルトプレス)を狙うなど、コンプライアンス完全無視のディーノに松井レフェリーがパンツをはかせようとしたところで、場内には“松井”コールが発生。謎の一体感ができ上がる中、自身もロングタイツの下にガーターベルト着用で試合に臨んでいた佐々木がディーノに逆リップロック。そこから雪崩式ペディグリーという大技でディーノの頭部をマットにめり込ませ、最後はミスティカ式クロスオーバー・フェースロックでギブアップを奪った。


試合タイムは32分10秒。タイトルマッチ、大舞台にふさわしいロングマッチであり、激しさとバカバカしさが同居するという意味ではDDTらしく、なおかつ佐々木、ディーノ双方の持ち味も出まくった試合だった。

(勝った佐々木は「男色ディーノは今日で終わりだ」と棺桶にぶち込む。ディーノはその後、連絡が取れなくなり試合も欠場に)

(C)DDTプロレスリング


試合後には、ディーノが「胸を張りなさい」と新王者にエール。しかし“試合後の爽やかな感動”こそ、佐々木が最も嫌うものだ。DAMNATIONのメンバーとともにディーノに攻撃を加え、入場の演出で使われた棺桶に叩き込んで鍵をかけてしまった。文字通り、DDTのアイコンを「葬った」わけだ。


これで“バッドエンド”かと思いきや、エンディングではこの日、全日本プロレスに参戦していたDAMNATIONのメンバー・石川修司が映像で登場。DDTのイメージソングとも言える「INTO THE LIGHT」をカラオケで熱唱する姿とともにエンドロールとなった。


佐々木の勝利、ディーノの大爆発と敗北、バッドエンドのようでカラオケでフィニッシュ。笑えばいいのかブーイングを飛ばせばいいのか、あるいはディーノファンにとっては悲しい終幕か。この両国大会の締め括りをどんな気持ちで見たらいいのか分からなかたっという人も多かったはずだ。


しかし「なんとも言えない微妙で複雑な余韻を残して終わる」というのは、映画や小説であれば珍しくないこと。プロレスも「ハッピーエンドかバッドエンドか」の二択だけでなくてもいいだろう。「タクシー・ドライバー」を見て「主人公が正義の味方じゃない」と怒る人はいない。この両国大会は、「バットマン」でいえばジョーカーを主役にしたエピソードのようなものか。

(大会翌日の一夜明け会見でも不規則発言に終始した新王者。ベルトとビールを手に記念撮影)


ベルトを巻き、DDTのトップに立った佐々木は「このリングをもっとメチャクチャにしてやる」。明確なビジョンはなく、ただひたすら混沌と混乱をもたらしたいようだ。一夜明け会見にはビール片手に登場すると、勝利者賞の賞金200万円について「今日、車買ったからもうない。それ乗って来たから」とコメントし、今林APが飲酒運転疑惑を慌てて打ち消す場面も。ちなみに車の値段は400万円のためすでに赤字、車種は「軽」とのこと。


400万円の軽自動車に乗っていると言い張る新チャンピオン・佐々木大輔。この男にDDTを引っ張ることができるのかどうかはまったくもって不明だが、そもそも本人にそんなつもりがないのだから仕方ない。それでいて実力は充分すぎるほど。DDTに愉快で厄介な新時代が到来した。


文・橋本宗洋

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