DDTプロレスのダイナミックな変化を見逃すな!入江茂弘卒業、CIMA率いるストロングハーツがベルトに挑戦

10月21日に開催されたDDTのビッグマッチ、両国国技館大会で最もエモーショナルな試合は、入江茂弘&石井慧介vsHARASHIMA&坂口征夫のタッグマッチだった。

(入江茂弘壮行試合。闘いを終えると全員で涙の記念撮影)

(C)DDTプロレスリング


入江は9月でDDTを退団。10月に入ってからはフリーとして参戦しており、この試合は壮行試合と銘打たれていた。入江は今後、海外での活動がメインとなる。すでにフリーだが、これが実質的な卒業マッチだ。


入江にとって、石井はリング上での関わりを超えた「パートナー」である。HARASHIMAとはベルトをめぐって何度も激闘を展開。両国のメインで対戦したことも。DDTのエース・HARASHIMAとの闘いぶりで、入江の成長が確認できるという面もあった。真っ向勝負タイプの坂口は、入江にとって最も噛み合う相手の1人。プライベートでも仲がよかった。


入江&石井の入場では、ステージに高尾蒼馬も姿を現した。入江・石井・高尾がかつて組んでいたユニット「チーム・ドリームフューチャーズ(チームドリフ)」はDDT史上屈指の結束力を誇り、またファンにも愛された。


現在、入江はフリーであり石井はガンバレ☆プロレスにレンタル移籍中。それぞれの道が分かれたところでの“再会”に、試合前から涙腺が緩んだファンも多かったはずだ。

(入江のビーストボンバー。坂口はフィニッシュ技を両手を広げて受け止めるように食らった)

(C)DDTプロレスリング


試合はいつも通りに激しいもの。とはいえどうしても感傷的にならざるを得ない。坂口曰く「俺のほうが先に気持ちがきちゃって」。フィニッシュでは入江の必殺技・ビーストボンバーを受け止めるようにして3カウントを聞いた。


試合後はセコンドの渡瀬瑞基、松井レフェリーもリングに上げての記念撮影。誰よりも涙を流した入江は「そこが自分の変わってないところ。もっと成長しないと」とコメントしたが、それが入江じゃないか、とも思う。これほどもらい泣きさせられるレスラーも他にいない。


去る者がいる一方で、新たにDDTマットに乗り込んできた者もいる。闘龍門、ドラゴンゲートで一世を風靡したCIMA率いるストロングハーツの面々だ。9月の後楽園ホール大会で竹下幸之介を中心とするALL OUTに対戦表明すると、初登場の「DDT LIVE! マジ卍」で絶大なインパクトを残した。

(CIMAは竹下にフォール勝ち。竹下はこの試合を「歴史的大敗」と表現、悔しさをあらわにした)

(C)DDTプロレスリング


両国大会では、CIMAがセミファイナルで竹下にフォール勝ち。反則も含めたインサイドワークと大技の絶妙なミックスでDDTの新エースのフィジカルを封じ込めてみせた。また6人タッグ戦、T-Hawk&エル・リンダマン&トアン・イーナンvs彰人&勝俣瞬馬&飯野雄貴もストロングハーツの勝利に。小兵のリンダマンが120kgの飯野をジャーマン・スープレックス・ホールで完璧に投げ、固めきった。ストロングハーツの参入によって、DDTには確実に新しい風が吹いている。


CIMAにとって「数年後にトップ取らなあかんやろ、プロレス界の」と実力を認める竹下との対戦は、ベテランとしての業界への恩返しでもあったという。さらに「全世界の全団体、CIMAでよければおたくの一番の若手の相手させてもらう」とも。自身の存在を「突破口」として、T-Hawkたち次世代にスポットを当てたいという思いもあるようだ。

(大会一夜明け会見ではストロングハーツの6人タッグ王座挑戦が発表。DDTのさらなる中心部に侵入してきた形だ)


10月28日の後楽園ホール大会では、ストロングハーツvsDAMNATIONが開戦する。CIMA&T-Hawk&イーナンが高尾&遠藤哲哉&マッド・ポーリーのKO-D6人タッグ王座に挑み、エル・リンダマンvs島谷常寛のシングルマッチも決定。新鮮な顔合わせはリング上の温度を高めるはずだし、スピーディーなスタイルではDDT屈指の遠藤が受ける刺激も相当なものだろう。


去っていった入江。入ってきたストロングハーツ。実はどちらも世界規模で闘うという共通点がある。プロレスラーがプロレスを続ける以上、いずれどこかで顔を合わせるものなのかもしれない。「自分が出世して、入江さんをDDTに“来日”させます」とは入江を慕う渡瀬の言葉。DDT自体、来年4月にアメリカ大会を開催する。10.21DDT両国は、さまざまな流れ、ドラマの交差点のような大会だった。


文・橋本宗洋

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