「このうぬぼれ野郎!」「お前の時代はもう終わりだ」伊藤麻希、絶対王者・山下実優を挑発!

東京女子プロレスが主戦場ながらDDT総選挙で3位となった伊藤麻希が、さらなるチャンスを掴んだ。

(王座挑戦権を獲得、自信満々の言葉を次々と放った伊藤)

(C)DDTプロレスリング


11月4日の東京女子プロレス新木場1st RING大会。ここで行なわれた時間差入場バトルロイヤルで伊藤が優勝。来年1月4日の後楽園ホール大会で、団体の頂点であるTOKYOプリンセス・オブ・プリンセス王座に挑戦することが決まったのだ。


3カウント、ギブアップだけでなくトップロープを超えて場外に転落しても失格となるこの試合。伊藤は坂崎ユカ、瑞希のタッグ王者コンビが転落するきっかけを作り、トップの一角である中島翔子にも丸め込み合戦で勝利。最後は頭突き連打からダイビング・ヘッドバットを上福ゆきに決めてベルトに「王手」となった。


迎え撃つ山下実優は初代王者で、現在が2度目の戴冠。今年の1.4後楽園で才木玲佳を破って王座奪回を果たすと、ここまで6度の防衛を重ねてきた。


しかし伊藤に臆するところなどない。リングで向かい合うと「今をときめく伊藤麻希と闘えることについて、お前はどう思う」と上から振り下ろす豪快な質問攻撃を繰り出した。「お前すげえなホント……。伊藤の勢いは認める。試合、めちゃくちゃ楽しみにしてるから」と言う山下に、伊藤は「誰が楽しみだって、このうぬぼれ野郎!」。さらに「お前の時代はもう終わりだ」と挑発すると、観客と「世界一可愛いのは?」「伊藤ちゃん!」のコール&レスポンスで大会を締めてみせた。

(対戦が決まると、山下と伊藤は激しい睨み合い)

(C)DDTプロレスリング


インタビュースペースでも、伊藤の舌鋒は鋭かった。「後楽園ホールが満員になることも、伊藤がベルトを巻くのも想像できてる」と語り、チャンピオンより上回っている部分を「自信」と即答。そこに「経験」と付け加えもした。


「あの人、歴(キャリア)何年ですか。5年? 5年だったらまああれくらいですよ。でも伊藤は(デビューから)2年で5年分やってっから」


典型的な「言葉の意味はよく分からんが、とにかく凄い自信だ」パターンと言っていい。しかし今年の1.4後楽園で男色ディーノと闘い、秋のDDT両国国技館大会で“女子プロレス界の横綱”里村芽衣子相手に玉砕するなど、伊藤のレスラーキャリア2年は確かに濃密だ。


レスラーとしてだけでなく、アイドルとしての“揉まれ方”も相当なもの。LinQ所属時代、福岡市民会館と中野サンプラザで大一番のライブを迎える際には、伊藤一人で手売り(物販コーナーなどでの直接販売)により計500枚を売りまくった。くぐってきた修羅場、そこで培ったバイタリティーは文句なしの一級品だ。


山下も、伊藤の「人を惹きつける力」は最大級に認めている。曰く「自然と応援したくなってしまう存在」。伊藤に対して「ベルトの重みを教える」としながらも「挑戦者にしか分からないものもある」と語るなど、油断はまったくない。


伊藤の挑戦に関しては、東京女子ファンも賛否両論だ。伊藤のタイトルマッチ、後楽園メインを認めたくないファンは、実力不足、実績不足だと感じているはず。挑戦者決定ランブルで勝ったことが最大の実績なのだが、そこまでの過程で、誰にでも分かるような形、すなわち結果で「成長したな」と感じさせるような試合はできていない。試合ぶりやマイクでファンの心を掴みながらも「〇〇に勝った」という段階は踏んできていないのだ。


筆者も、伊藤が“強豪レスラー”だと言うつもりはない。今回の挑戦者決定ランブルでも、フィニッシュのダイビング・ヘッドバットは飛距離が足りず、完璧な当たりにはほど遠かった。誰もが納得するような試合ぶりではなかったからこそ賛否両論にもなるのだろう。


ただ東京女子の興行を毎回、取材していて感じるのは、伊藤の力量はいつ「格上食い」をしてもおかしくないだけのものになっているということだ。本人もそれを感じているから「自信」で負けないと断言できたのだろう。


「あんまりこういうこと言いたくないけど、努力を怠ったことはないので」という言葉も出た。努力するのは当たり前というスタンスの伊藤がこう言ったのだからよほどのことだ。


タイトルマッチに向けてこれから2カ月あるのも忘れてはいけない。DDT総選挙の結果(3位)を受けて出場する11.25DDT後楽園大会では、エース・竹下幸之介とのシングルマッチが決定した。山下との前哨戦もあり、この2カ月で伊藤がさらに急成長することも充分に考えられる。


山下vs伊藤は、これまで東京女子プロレスで行なわれてきたどのタイトルマッチとも違う。東京女子ならではのタイトルマッチだ。他の団体と同じような意味での「激闘」、「名勝負」にはならないかもしれないが、だからこそこの顔合わせには意味がある。


文・橋本宗洋

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