「世界でプロレスがしてみたい」「毎日でも試合がしたい」東京女子プロレス退団の優宇、連続で“記念マッチ”

東京女子プロレスのトップ選手で、第2代TOKYOプリンセス・オブ・プリンセス王者の優宇が12月1日で退団、今後はフリーとして活動することになった。

(今回も中身の濃い展開となった優宇vs中嶋。優宇の逆水平もこの迫力)

(C)DDTプロレスリング


柔道の実績を持つ優宇は、デビューすると無敗のまま初代王者・山下実優を下してチャンピオンに。豪快な投げと関節技、逆水平チョップを武器に実力派レスラーとして団体の最前線で活躍してきた。今年8月の山下戦は心身ともに削り合うようなタフマッチ。団体最高峰にふさわしい激闘を展開している。


退団の理由について、優宇は記者会見で「世界でプロレスがしてみたい。もっと広い世界が見てみたい。引退する時に、やってないことがあったと後悔したくないという気持ちです」と語っている。海外でも東京女子で学んだ「楽しいプロレス」を活かしながら「毎日でも試合がしたい」というコメントも。


退団が決まってからの優宇の試合は、すべてが“メモリアルマッチ”と言えるものになった。同期でありデビュー戦で闘った天満のどかとのタッグ結成。のどかの妹である愛野ユキとはシングルで闘い、自分のファンから選手になった猫はるなとの対戦も。さらに11.24成増大会では優宇が「退団前に試合がしたいと会社にお願いした」中島翔子との一戦が行なわれている。


優宇と中島は、優宇がデビューした年のトーナメント「東京プリンセスカップ」、昨年の1.4後楽園大会のメインイベント(王座戦)と、大事な場面で闘ってきた。今回も節目となるシチュエーションで、序盤の丁寧なグラウンド戦、チョップとエルボーの打ち合い、大技の切り返しと見応え充分の攻防を展開している。


グラウンドの攻防で観客の目を惹きつけることができるのがこの2人であり、東京女子プロレスはそういう選手を育ててきたのだとも言える。結果は15分時間切れ引き分けだったが、満足感が残る試合だった。優宇も「一言でいうなら完全燃焼でした」と試合後に語っている。

(12.1新宿大会での対戦が決まると、がっちり握手をかわした同期の優宇とのどか)

(C)DDTプロレスリング


そして12.1新宿FACE大会、所属ラストマッチではのどかとシングルで対戦する。「最初がのどかだったから、最後ものどかで終わらせてほしい」と優宇。もちろんのどかにも異論はない。


「練習生になる前からずっと一緒で、練習生同士のエキシビションもやって。数えきれないくらい試合して。私たち期待されてないのかなって思いながら、いつか私たちの試合が目玉になるといいねって話をしてたよね」(のどか)


成長著しいのどかにとって、負け続けてきたのどかに力をぶつける最大のチャンスでもある。旗揚げ5周年記念大会でもある12.1新宿の、目玉の一つと言っていいカードだ。


優宇が東京女子プロレスをやめるのは、もちろん惜しい。選手にとってもファンにとっても居心地のいい空間だから、余計にそう感じるのかもしれない。子供の頃からDDTを見て育ち、東京女子に入ってチャンピオンになった“ドラマティック・ドリーム・ファイター”優宇だが、団体の枠を超えて「やりたいこと」がある選手に育ったのは、残る人間たちにとっても誇るべきことではないか。基本的に他団体と交わらない東京女子で闘ってきた選手が“外”で何を見せてくれるのかも楽しみだ。

(11月1日の会見で退団を発表した優宇。今後は海外での試合も含め、フリーとして活動していく)


優宇は中島に対して「東京女子を離れても、また闘うことがあれば嬉しいです」と語っている。中島も「たぶん2人ともしばらくは現役なので。またどこかで会えた時には私が勝ちたい」。


“節目”は確かにある。しかし“終わり”ではない限り、何があってもおかしくないのがプロレスだ。12月1日、そしてその先も、優宇のドラマティック・ドリームは続く。


文・橋本宗洋

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