今のガンプロは“大家ワールド”ではない。今年のガンプロ、主役はこの男!映像スタッフ兼レスラー・今成夢人

今年、DDTグループの選手全体の中でも屈指の成長ぶりを見せたのがガンバレ☆プロレス(ガンプロ)の今成夢人だ。

(12月7日の記者会見。今成(右)と翔太はシンガポールケインマッチでの打倒・戦闘民族をアピール)


普段はDDT映像班のスタッフとして中継や“煽りV”を担当している今成は、もともと学生プロレス経験者。5年前、大家健がガンプロを旗揚げすると巻き込まれるように試合をすることに。以降、タッグパートナーとして、セコンドとして、またチケット即売会での相方として、今成は大家と名コンビぶりを発揮してきた。


旗揚げ当初は頼りなさもあった今成だが、ガンプロ参戦中の勝村周一朗(元修斗世界王者)のジムで練習し始めたあたりから体つきも変わり、レスラーとしての実力も上がってきた。


大学卒業後、テレビ局に就職したものの挫折、会社をやめた過去がある今成。たまりにたまった人生の鬱憤をリングにぶつけるアツさ(アツ苦しさ)は時に大家をも超えるほどであり、今年はついにリングでの活躍ぶりでも大家を超えた。

(ハイテンションな試合ぶりでもインパクトを残す今成。目のヤバさはただごとではない)


“今成革命”をブチ上げ、夏のトーナメント「ガンバレ☆クライマックス」で優勝したのだ。12月16日に開催されるガンプロ2度目の後楽園ホール大会も、今成のアピールで決まったもの。


「“大家の右腕”は収まりがいいけど、それだとプロレスラーとしての上昇がない。スタッフとしてDDTの全団体に関わる中で、ガンプロの瞬間最大風力が弱まっているのが分かる。(風を)起こしていかないと居場所がなくなっちゃうんですよ。自分の気持ちの置きどころもなくなる」

(特にコアなファンが集まる市ヶ谷大会では後楽園大会の煽りVを公開撮影)


11月22日の市ヶ谷大会では興行を通して「後楽園大会の煽りV撮影」を敢行するなど、独自のプロデュース力にも定評がある今成。映像班興行「ベータマニア」も高い評価を受けた。


さらにガンプロ、男性客限定興行「野郎Z」で女子マッチのレフェリーを務め、セクハラギリギリ(アウト)なレフェリングを行なうことも一部ファンには有名。この男、自他ともに認める「ぽっちゃり好き」であり、その度合いはといえば「そこらのデブ専とはなぁ、レベルが違うんだよ!」とのこと。実際、試合と仕事と練習の合間を縫って「デブ専」の世界に密着したドキュメンタリーを自主制作、映画祭に出品するほどなのである。


当然、引き締まった体型の女子レスラーには当たりが厳しい今成。青春の鬱屈から熱気、性癖まで、隠すものは何もない。そんなむき出しっぷりがガンプロにはよく似合う。ちなみにセクハラレフェリングの結果として、必ず女子レスラーに退治されるのだが、踏みつけられたりするとそれはそれで嬉しそうでもある。


12.16ガンプロ後楽園では、翔太と組んでプロレスリングBASARAのユニット「戦闘民族」(関根龍一&下村大樹)との対抗戦に臨む。試合形式はテキサス・トルネード・シンガポールケインマッチ。竹刀=シンガポールケインを公認凶器とした闘いだ。


この形式を発案したのは翔太。戦闘民族との抗争の中で「今までなかった暴力性や攻撃性が湧き上がってきた」という。ベースとなるスタイルはアメリカンプロレス、ずる賢さも含めた技巧で勝負する職人肌の選手だったが、ここにきて大きな変化の時を迎えようとしているようだ。


“どインディー”のリングを渡り歩き、他団体所属時代からガンプロを主戦場の一つにしてきた翔太。今年春には正式入団を果たしており、「ガンプロなくして僕のキャリアはない」と言うほどだ。このリングで成り上がりたい、このリングを盛り上げたいという思いの強さは今成同様と言っていいだろう。


この夏、大家が失踪騒動を起こすなど大スランプに陥った一方で、今成と翔太は団体の屋台骨を支える選手として存在感を増した。夏に加入した岩崎孝樹、DDTからレンタル移籍してきた石井慧介も含め、今のガンプロは単なる“大家ワールド”ではない。映像スタッフ兼レスラーが“主役”を張る団体があったっていいのである。


文・橋本宗洋

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