「こんなレスラーいないでしょ」竹下幸之介、ノア・潮崎&CIMA撃破で両国メインに向け“真のエース”の輝き

(後楽園ではCIMAをフォールし6人タッグ王者に。今の竹下は心技体のレベルが相当に高いレベルで揃っていると言える)

 

 2019年初のビッグマッチとなる2月17日の両国国技館大会に向け、DDTの新世代エース・竹下幸之介が充実したファイトを見せている。


 竹下は1カ月にわたって開催されたリーグ戦「D王グランプリ」で初優勝。両国メインでのKO-D無差別級王座挑戦を決めた(王者は佐々木大輔)。しかも12.30後楽園ホール大会での優勝決定戦の相手はプロレスリング・ノアの潮崎豪だ。団体の枠を超えてトップレスラーに勝った意味は大きい。


 試合前から「決勝戦というだけでも、DDTvsノアというだけでもない。竹下vs潮崎は日本のトップ選手同士の対決。そう見てほしい」と語っていた竹下。試合では潮崎のパワー、とりわけ逆水平チョップとラリアットにギリギリのところまで追い込まれた。


 それでもエルボー、ヒザで真っ向から反撃し、潮崎の必殺技の一つ、ゴーフラッシャーもカウント2でクリア。最後はこのリーグ戦で初披露した新技・ファブルからジャーマン2連発で優勝とともに「潮崎豪からの勝利」という勲章を掴んだ。


 この勝利を「ひとえにみなさんの声援のおかげ」と竹下。ファンの後押しで勝った試合だったという。「火事場のクソ力ってあるんだなと思いました」、「初めてプロレスで本当の痛みを味わって、プロレスをやりました」とも語っており、キャリアの中でも重要な一戦になったようだ。


 この日のセミファイナルでは、吉村直巳が首を負傷し救急車で病院に運ばれるというアクシデントがあった。盛り上がりにはほど遠い、不安に包まれた中で竹下はリングに上がったのだ。そしてそこで、急遽マイクを取って「今、吉村の力になるのは吉村コールだと思います」とコールを求め、その上で「必ず(コールが)届いていると思います。潮崎選手、僕はすべてを受け止めた上で勝ちます。遠慮なくきてください」と潮崎を呼び込んだ。

(王者・佐々木と対峙する竹下。2.17両国で勝てば3度目の戴冠となる)


 メインはどうなってしまうのか、どんな気持ちで試合を見ればいいのか。そんなネガティブな空気を振り払おうとする竹下のマイク。ここで観客の気持ちを掴んだことが試合中の追い風にもつながった。能力が高すぎるがゆえに、相手への判官贔屓がつきものだった竹下。だがこの日、潮崎という強敵と自身のマイクで、真のエースとしての輝きを身にまとったと言える。


 翌日、大晦日の「年越しプロレス」では宮本裕向と組んでシャッフルタッグトーナメント優勝。さらに1月3日のDDT後楽園大会もメインに登場し、彰人、飯野雄貴と組んでストロングハーツ(CIMA&T-Hawk&トアン・イーナン)からKO-D6人タッグ王座を奪還している。勝利を決めたのは竹下のファブル、しかも相手は10月の両国大会で敗れたCIMAだった。


 潮崎に勝ち、その翌日にタッグトーナメント優勝、さらにその約2日後にCIMAをフォール。凄まじい結果の残しっぷりに、竹下自身も「こんなレスラーいないでしょ」。2.17両国には絶好調で臨むことになりそうだ。


 昨年4月にKO-D無差別級王座を失ってから、竹下は“フリーバード”を自称し、自由に、楽しそうにリングに上がるようになっていた。ケガによる欠場もあったが、それもリフレッシュにつながったようだ。自らアピールして、6人タッグで“女子プロレス界の横綱”里村明衣子と対戦してもいる。


 後楽園での伊藤麻希戦も、竹下の懐の深さを感じさせる試合だった。D王GPでの青木真也との試合も高評価を得ている。女子レスラーともMMAファイターとも名勝負を残せるのが今の竹下幸之介。独自の世界観を持つ王者・佐々木とのタイトルマッチは相当に“奥行き”のある試合になるのではないか。

文・橋本宗洋

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