中島翔子と才木玲佳、「1.4東京女子プロレス後楽園」敗北から始まる“反逆”ストーリー

(里村の強烈なキックを浴びる才木。悲鳴をあげながらも“女子プロレス界の横綱”に果敢に向かっていった)

 

 スタート当初は選手数も少なく、プロレスの試合とアイドルライブのコラボ形式で大会を開催してきた東京女子プロレスだが、昨年から今年にかけて所属&レギュラー参戦選手が驚くほど増えている。昨年1月にアップアップガールズ(プロレス)の4人、5月に愛野ユキがデビューし、11月からはグラドル・白川未奈がレギュラー参戦。11月から1月4日の後楽園ホール大会にかけて、新人4人(猫はるな、原宿ぽむ、YUMI、うなぎひまわり)もデビューしている。さらに1.4後楽園では、フリーになった万喜なつみまで乗り込んできた。


 選手が増えれば、それだけ出世争いの激しさも増す。チャンスが巡ってくる確率も低くなるわけだ。トップ選手にしても、気が抜けない闘いが続く。万喜のレギュラー参戦は上位陣の大きな刺激になりそうだし、マッチメイクも変わってくる。もちろん、後楽園などの大舞台は厳しいカードの連続だ。1.4後楽園では、TOKYOプリンセスタッグ選手権試合として坂崎ユカ&瑞希(王者)vs中島翔子&里歩が組まれた。全員が女子プロレス界屈指と言えるスピードとテクニックの持ち主。ピンチになった際のバックアップや合体・連携技も含め、4人は期待通りの白熱した攻防を展開してみせた。

(タワーブリッジなど、反撃を見せる場面も)


 そしてこの試合は、複雑な人間模様がある試合でもあった。もともとは中島と坂崎、里歩と瑞希がタッグパートナー。昨年の1.4はこの組み合わせで、中島&坂崎を王者組とするタイトル戦が行なわれている。だがその後、抽選でパートナーが決まるシャッフルタッグトーナメントで坂崎と瑞希が組み、優勝。そのまま王座決定戦にも勝ってベルトを巻き、防衛を重ねてきた。そこで中島が、シングルで対戦したこともある里歩とタッグを結成したというわけだ。中島&里歩は公開合同練習を行ない、タッグ力でもチャンピオンに対抗。試合終盤には中島が坂崎を追い込んでいる。最後は瑞希の好アシストを得て、坂崎がマジカル魔法少女スプラッシュで中島をフォールしたものの「逆転勝ち」という印象も残った。


 「私はシングルでは中島翔子に勝ててないんです。今日もシングルだったらたぶん負けてた。でも瑞希がいてくれたから勝てた」(坂崎)


 2020年までベルトを守り続けるという王者組に対し、敗れた中島&里歩もタッグ継続を希望。小学生でデビュー、21歳にしてキャリア10年以上という里歩に「すごく刺激になったし、尊敬してるし、好きなので」と中島。団体初期メンバーであり、1.4後楽園大会では過去2回連続でメインを務めたこともある中島はグラウンドから飛び技まで多彩なテクニックを持っており、研究熱心さでもトップクラスだ。ただマイクやコメントなどで強く自己主張するタイプではないだけに、埋もれてしまったり、損な役回りになってしまったりという危うさも感じる。2019年は中島が何を主張し、どう動くかも重要ではないか。久々のシングル王座挑戦を待っているファンも多いはずだ。

(タッグ王座戦、中島はパートナーでもある坂崎と激しい攻防を展開)

 

 “筋肉アイドル”才木玲佳も、巻き返しが期待される選手の一人だ。昨年は1.4後楽園でシングル王座を奪われ、タッグ王座はパートナー・小橋マリカの負傷欠場で返上に。我慢を強いられる1年だった。とはいえ、まだまだ成長過程。1.4後楽園では“女子プロレス界の横綱”里村明衣子(センダイガールズプロレスリング)との一騎打ちでインパクトを残した。結果から言えば里村の完勝。序盤の力くらべからワキ固めなどのグラウンド、蹴りにフィニッシュのデスバレーボムと、すべてにおいて里村は圧倒的だった。才木は「今までで一番痛くて、辛くて、逃げたくなった」と漏らしている。だが試合後の里村は、才木を絶賛している。


 「すごい気持ちの強い選手ですね。まだまだこの選手はいけると思いました。今年、怖いですよ。追い込んでも一撃にこもる魂があった。何度でも闘いたい選手です」

(坂崎&瑞希の王者チームは3度目の防衛に成功)


 タワーブリッジ(アルゼンチン・バックブリーカー)やシャイニング・ウィザードなど、劣勢の中でも得意技を必死で繰り出していった才木。終盤でも技のフォームが崩れたりパワーが落ちたりしたようには見えなかった。小技を使わず、あくまで正面突破を狙った闘いぶりも才木らしさだ。


 「私のプロレス人生がここからまた始まった気がする」と才木。里村という、とてつもなく大きな存在に触れたことでどんな変化が起きるか。才木は間違いなく、この敗戦を糧にできるタイプだ。1.4東京女子プロレス後楽園大会で敗れた中島と才木。しかし敗れたからこそ今後が気になるということも、闘いの世界にはあるのだ。

文・橋本宗洋


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