「ONE流・天下一武道会」 6年ぶり“キック復帰”の秋元皓貴がONE“圧巻”デビュー

 1月25日、フィリピン・マニラで総合格闘技団体・ONE Championshipの大会「HERO'S ASCENT」が開催された。立ち技ルールでは秋元皓貴、小笠原裕典、鈴木博昭と3人の日本人選手がONEのケージに登場した。昨年から本格的にONEの大会に登場した立ち技の通称「スーパーシリーズ」、手探りながら見えてきた立ち技による「ONE流・天下一武道会」のヴィジョンとは。


 試合はそれぞれキックボクシングルールで秋元皓貴、ムエタイルールで小笠原裕典、鈴木博昭が挑んだ。このスーパーシリーズ、薄いオープンフィンガーグローブを使った打撃戦という過激さを売りにムエタイ、キックボクシングなどの一流選手が徐々に参加しつつある。


 そんな中、秋元皓貴はONEが自信を持って選び抜いた、世界の立ち技の一流選手のひとり。空手をルーツに、ムエタイ、キックボクシングで一時代を作りつつもあっさり引退。その後は再び空手の世界で存在感を示してきた。そんな秋元が昨年シンガポールで青木真也、那須川天心、UFCのハファエル・ドス・アンジョス、アンジェラ・リーといった錚々たる面々をサポートするチームEVOLVE MMAのトライアルを受け、ONEとの契約を発表したことは大きな驚きをもって迎えられた。6年間のキックボクシングのブランクという不安要素はあったが、3月の日本大会への「秘密兵器」と目されていた秋元のデビューが2カ月も早まったことで、実戦へ向けて仕上がりの良さを判断してのことだろう。


 メインカード第6試合に登場し、ジョシュ・トナー(オーストラリア)と対戦した秋元。序盤から距離を詰めたトナーに対し、秋元は右ローなどを軸に、強烈なボディへの右ミドル、左ミドルでダウンを奪う。その後も秋元が優勢にパンチを当てていくが、トナーも距離を掴みはじめる。秋元の左ミドルにあわせて強烈な右フックを放ってダウンを奪い、両者1つずつのダウンでラウンドを終える。2Rは打ち合いに、トナーが右フック中心に攻める一方で、秋元は左フック、ボディ、ローとバリエーションのある蹴りを繰り出した。3Rに入ると秋元の左右のパンチの精度に加え、強烈なミドルでトナーから2度目のダウンを奪い、その後もハイキックとローと空手仕込みの多彩な蹴りで圧倒。判定の末、3-0で勝利した。


 1Rでのダウンに象徴されるようにガードの甘さからパンチでの打ち合いでやや不安と課題は残るものの、秋元の6年ぶりのキックボクシング復帰となるONEデビュー戦は「衝撃」という表現が相応しい試合内容となった。そして、前座にあたるプレリムに登場した2選手、鈴木博昭と小笠原裕典はそれぞれの明暗が分かれる結果となった。


 「全身凶器の怪物くん」の異名でその優れたフィジカルからSHOOTを席巻し、近年はKNOCK OUTにも登場していた鈴木博昭。34歳のベテランが本格的に世界を意識して挑むONE Championshipのスーパーシリーズ第2戦の対戦相手は、12月に鮮烈なKOデビューを飾っているモハマド・ビン・マフムード(マレーシア)。試合は1Rから鈴木がマフムードの攻撃をことごとくかわしプレッシャーをかけながら、時折強烈なハイキックを放ってペースを握る。ラウンド後半も鈴木のパンチが効果的入ってラウンドを終えた。3R、ラフに首相撲で倒しにくるマフムードに対して冷静に対応した鈴木はハイキックを側頭部に入れ相手をダウン寸前まで追い込み、ラウンド終了間際に左右のラッシュでTKO、連勝を飾った。

 一方、日本でのムエタイタイトル2冠を返上してONEに挑んでいる小笠原裕典は、K-1に参加経験のあるエリアス・マムーディ(アルジェリア)を相手に厳しい判定負け(0-3)を喫した。序盤から前蹴り、ハイキックと積極的に攻めるマムーディー、さらに右ヒジで小笠原が眉をカットし流血。2R以降もリーチのある前蹴り、首相撲などでマムーディは小笠原を圧倒し試合の主導権を握りダウンを奪う。3Rに効果的な左ストレート、フックなどで意地をみせた小笠原だったが、試合を通じて打撃、ヒザ、蹴りと多彩な攻撃で手数を稼いだマムーディーに圧倒され判定負け。K-1でのヒジなしルールでインパクトが残せなかった印象のあるマムーディーが、ONEのムエタイルールで文字通り躍動感ある戦いぶりを印象づけた。小笠原は2連敗となったが、新たなルール、新たな戦いの場での挑戦。劣勢の中3Rを戦い抜きラウンド後半まで飛び膝を放つなど最後まで諦めない姿は印象的だった。試合後にはツイッターで「俺がクソ弱かった!また出直します!応援ありがとうございました!」と力強く再起を誓っていた。


 この大会には、昨年に日本での那須川天心との激闘でも話題になったロッタン・ジットムアンノンも出場。ムエタイルールでファディ・カレッド(チュニジア)を圧倒し(3-0)の判定勝ち。前回同様相手を完膚なきまでに叩きのめしつつ、フルラウンドを通じて格の違いをみせつけた。


 圧倒的強さに加え、ふてぶてしい仕草さと客へのアピール度の高さでファンの心を掴んだロッタンに、今後世界中から刺客が送り込まれる構図も興味深いし、違い将来同じ階級で秋元とロッタンという「キックボクシング+空手vsムエタイ」という禁断のマッチメイクといった期待も膨らむ。


 まだまだ試合数も少ないため接戦での判定が多いなど、未知数の部分も多いONEスーパーシリーズ。しかし、オープンフィンガーでの打撃戦と幅広い立ち技競技のスペシャリストが集う、かつてのK-1とはひと違った、独特のリーグ戦に成長しそうだ。

(C)AbemaTV


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