「美女でも何でも、注目されてなんぼ」Krush期待の19歳・菅原美優、「ハードル上げないで(笑)」と大人たちに注文も

 1月26日に後楽園ホールで行われたKrush.97において、Krush期待の女子選手がプロデビュー戦を白星で飾った。若干19歳にして、格闘技歴10年の菅原美優。その可愛らしさから、前日計量の様子を報じたメディアの多くは菅原のことを「美女」と形容した。


 プロとしてリングで戦っていく以上、特徴はどうであれ“話題性”は重要だが、菅原は1R開始わずか13秒で、“見た目だけではない”ことをリングで証明してみせた。右からの返しで繰り出した強烈な左フックが、対戦相手の豊嶋里美を見事に捉えた。目の覚めるようなダウンシーンだった。しかし当の本人は「全然覚えていないんです。自分のどのパンチで相手が倒れたのか……。ただ、返しの左フックは練習していました。とにかく身体に覚え込ませるように」と振り返る。開始13秒のダウンは、その成果だった。

(C)Good Loser

 

 菅原が父の影響で空手を始めたのは、小学校1年生の時。男の子と手を合わせることが大半で、「痛くて嫌だった。とにかく辞めたかった」と当時の心境を明かす。実際に試合に出ても「勝ったのは片手で数えるくらいだった」という。そのため中学の3年間は、部活と受験を理由に空手の道場を休会。陸上やバスケットなど、様々な部活にチャレンジしたというが、どれも“ピンと”くるほどではなく、結局、高校1年の冬に空手を再開した。本人によると「戻ってきちゃった感じ」らしいが、その直後に出た大会で勝利を挙げ、その1勝で得た“勝つ喜び”が、今も彼女がリングに上がる支えになっている。


 菅原は普段、美容師の資格を取得すべく専門学校に通っている。かねてから美容に興味があり、高校の時は結婚式場でバイトを経験。将来はブライダルスタイリストになりたいと考えていた。順調にいけば2020年2月から始まる国家試験で念願の美容師になることができる。はずだったが、好きなことを仕事にしたいという気持ち、プロ格闘家への憧れなどもあり、学校には美容師としての「就職の意思なし」と伝えており、学校も了承しているという。では、専門学校の友達はどう思っているのか?


 「学校後にジムに通う生活だったので、いつも大きな荷物を抱えて通学しています。アマチュアの時はあまり自信が無かったので友だちを試合に呼んだことも無く、デビュー戦で初めて試合を観た友達たちは、『あぁ、そういうことだったんだね。そりゃ疲れるよね』って。授業中に寝ちゃうことも多かったもので」


 菅原が通うジムは、東京の三軒茶屋にあるシルバーウルフ。K-1で活躍した魔裟斗が所属し、大宮司進が代表を務める名門ジムだ。左右田泰臣やKANAなどトップ選手も所属しており、練習が厳しいことで知られている。そんな彼女に「入会以来、最もツラかった、苦しかった練習」を聞くと、意外な返事が返ってきた。


 「プロ練習に参加し始めた当初は、その場にいるだけで疲れました。気疲れです。慣れもあったと思いますが、月曜から土曜までの練習で、真ん中の水曜日くらいには決まって体調不良に。自分の練習だけでも精一杯なのに、先輩への気遣いなどもあり、身体は平気でしたがメンタルが……普段は割と自由なタイプなんですけどね。プロデビュー戦の前にも緊張のし過ぎで、前日に嘔吐してしまったり、試合前にバンテージを巻いてもらっている最中に恐怖心から突然涙が出てきたり……。緊張するのはアマチュアの頃からなので、自宅で感情がうまくコントロールできなくなって涙を流す私を見て、母は慣れた様子で動画撮影をし、笑いながら見ていましたけど(苦笑)」

「練習より試合の方がツラい」 プロの厳しさを初めて痛感した


 デビュー戦を境に変わったことがあるという。それは走るようになったことだ。今までは15時50分に学校を終え、急いでジムに向かっても、ジムに着くのは17時前。16時から練習は始まっており、絶対的な練習量の不足を認識していた。「走れ」とも言われていたが、練習後のバイトなどもこなすと、帰宅は深夜1時を過ぎることも。決して遊んでいるわけではないが、とにかく時間がない。「朝走ればいいんですけど、とにかく朝が弱くて」と話す菅原を変えたのが、デビュー戦で感じたプロの厳しさだった。


 「終盤に打ち疲れ、バテバテ。また試合後、代表に『今まで試合の方が練習よりツライと感じた事なかっただろ?』と言われたのですが、確かに、アマの時は試合より練習の方がキツかった。しかし今回は、練習よりも試合の方が遥かに苦しかった。代表の言葉の意味、プロの厳しさを実感することができました」


 「反省しきり」の菅原だが、プロ初勝利のご褒美は3月10日に行われる「K-1 WORLD GP 2019 ~K’FESTA.2~」を観戦しに行くことだという。格闘技以外の「無欲」を公言する彼女は、小さな頃から「これができたら、これをやったら、何かを買ってあげる」という口車に乗せられるタイプではなかった。そんな菅原にK-1からご褒美が贈られた。2月1日に開催された「K-1 AWARDS 2018」において、2018年の活躍(K-1アマチュア全日本大会3連覇)が評価されアマチュア部門の最優秀選手賞に選出されたのだ。これにより、無欲な菅原にプロとしての自覚と欲が芽生えた。


 「今後、プロとして戦っていくためには、限られた時間の使い方を考えなければいけない。先輩方は午前中にフィジカルを鍛え、午後はジムでトレーニングに励んでいる。私が目指すべきは、KANAさんのようなパワースタイルではなく、背の高さとリーチを活かす城戸さんのようなスタイル。キックに関しても、直線的な蹴りばかりではなく、ミドルやロー、方向や角度のバリエーションを増やすことでパンチも入るようになるはずです」


 他にも一つ聞いておきたいことがあった。それは「美女」と形容され、ビジュアル先行の報道がなされたことについてだ。「大人は怖いな、ハードルを上げないで(笑)」と一笑に付した菅原だったが、その答えにこそ、プロの自覚が滲んでいた。


「もちろん悪い気はしませんが、実際には、がさつだし、ガニ股がひどいし、美女という言葉は私のキャラクターには合っていない。アマの時は今より気になっていましたが、プロになってからは、いくら強くても、注目されたり、売れたりしなければ意味がない。美女だろうが何だろうが、注目されてなんぼ。逆に注目される中で試合ができるなんて、プロとしては“幸せな悩み”だと考えられるようになりました」


 「格闘技はまだまだ、男性が主流の世界。そんな世界で、女の子に憧れられるような格闘家になりたい」と目標を明かした菅原は、憧れのKANAと自身を比較すると「KANAさんはカッコいいタイプ。私はせっかく美容学校に通っているので、女性らしさを残しつつやっていけたら」と目指す姿について言及する一方、「いつか、ごっついカラダになっちゃうのかな……」と19歳女子らしい本音ものぞかせていた。


 菅原のプロ2戦目は4月19日に後楽園ホールで行われる「K-1 KRUSH FIGHT.100」。女子アトム級で対戦する延谷美智子との一戦で、どのような戦いを見せてくれるのか。


(C)AbemaTV


【注目動画】
▶Krushに舞い降りた美女格闘家・菅原美優の等身大ドキュメント

続きを見る