RISE「秒殺KO」の篠塚辰樹、ダメージが“無さすぎ”て「深酒遅刻」の大失態 一人ぼっちの”翌々日”会見

 10日に大田区総合体育館で行われたRISEの世界トーナメント『RISE WORLD SERIES 2019』は、-58kgトーナメントの一回戦に登場した那須川天心が、アルゼンチンのフェデリコ・ローマを衝撃のハイキックKOで下して大会を締めくくった。その結果を受けて那須川に注目が集まった一方、その那須川を指導し、父でもある「TEPPEN GYM」の那須川弘幸会長が『天心の一戦が行われるまで大会のMVPだった』と話し、その戦いぶりを称賛したファイターがいる。同大会の第一試合目で登場し、瑠夏をわずか61秒でマットに沈めたスーパーフェザー級の篠塚辰樹(20)だ。


 篠塚はアマチュアボクシングでインターハイ・ベスト8に入り、プロ転向後はワタナベジムに所属。2016年12月のプロデビュー戦こそ僅差の判定で敗れたものの戦績は3勝(2KO)1敗の元A級ボクサー。そして昨年2月にキックボクシングに転向するとKOを量産し、フェザー級5位まで駆け上がったが、今回の試合からスーパーフェザー級に主戦場を移している。瑠夏との一戦ではキャリアを生かして序盤からパンチで圧倒。最後に振り抜いた右はスピード、パワーともに鮮烈であり、会場を瞬く間にヒートアップさせた。RISEの伊藤隆代表も今後の団体を背負う選手の一人として期待を寄せている。


 しかし、篠塚には生粋のファイターである反面、もう一つの顔がある。伊藤代表曰く「プロブレム・ボーイ」。それは圧巻の勝利の余韻が残る翌日、早々にファンや報道陣に知れ渡ることになった。篠塚は恒例となっている公式の翌日会見に、前日の深酒の影響から寝坊、欠席してしまったのだ。応援してくれたファンに感謝の言葉を直接伝えることができず残念がっていると聞き、本人に取材を申し込むと、伊藤代表同席でのインタビューとなった。

 12日、会場に指定された伊藤代表が会長を務める巣鴨のジム「TARGET」に到着すると、そこにはスーツ姿の篠塚が先着していた。あの日以来、初めて伊藤代表と顔を合わせることになる篠塚は、やはり緊張の面持ち。ジムに入ると、リング前には会見さながらのセットが。それは会長の親心なのか。こうして篠塚の「一人ぼっちの翌々日会見」は始まった――。


篠塚 (頭を下げて)代表、すみませんでした……。


伊藤代表(以下、伊藤) 何やってんだよ……。まったく(ブツブツ)。


(着席)


― 早速ですが、翌日会見の集合時間は11時30分でした。しかし、篠塚選手が起床したのは11時30分だったと聞きました。やっちゃいましたね。快勝した日の晩に、一体何が?


伊藤 それは聞きたいな。その状況によって、怒りの度合いも変わりますからね。


篠塚 地元の友達がお祝いに来てくれて、全く打たれず、ダメージもなかったので、ついそのまま飲みに。


伊藤 何時まで飲んでたの? 浮かれて“べろんべろん”になっちゃったのか? ノンダメージだからって弾けて、お酒にやられちゃったのか。それで「朝帰り」ということだな。


篠塚 ……気づいたら朝になっていて、家に帰ったのが6時過ぎ。会見も控えていたので、寝たら危ないとは知りつつ、ちょっとのつもりで少しだけ目を瞑ったら……大変なことに。


伊藤 ちょっとのつもりで寝坊欠席するくらいなら、そのまま帰宅せずに会見に向かってもらった方がマシだったけどな。(ギロリと見て)ん!? 


篠塚 ……。


伊藤 辰樹な、目に見えるダメージが無かったとしても、そもそも試合当日はアルコールを飲んだらダメだからな。オレの現役時代(伊藤代表は元WMAF世界スーパーウェルター級チャンピオンなどにも輝いているキックボクサー)は今のようにキチンとして無かったから、40試合くらいやった内の30回くらいはKOされようが飲んでいたような時代だったけどな。ただ朝7時まで飲んでも、翌日の仕事に遅刻したことは一度もなかった。一度も、な。そこが、社会人としての大きな違い。プロとしての自覚の差だよ。


― 寝坊、遅刻の一報は誰に、どのように


篠塚 あ、いや……電話をしたというか、電話で起こしてもらいました。同じジムの天心(那須川天心)とか大珠くん(白鳥大珠)から着信履歴がたくさん入ってて、最終的にはマネージャーの電話で。アラームを5分おきに設定していたんですけどね。「今日来るでしょ?」と言われて「はい、行きます」と答えて。電話を切ってから時間を見てビックリ。「あ、そういうことか……」と。


伊藤 アラームの間隔の問題じゃないだろ。それに「そういうことか」って何だよ(怒)。


― 今までプロのリングで戦ってきて、色々なピンチ、プレッシャーがあったと思いますが、「あ、そういうことか」と事態を把握したとき、どのような気持ちに


篠塚 もうヤバかったっす。ただ、その時点ではまだお酒が残ってたので、実際にはそこまで(苦笑)。その後も天心から電話が来て「お前、どこにいるんだよ?」って怒られました。


― 伊藤さんが事態を把握したのはいつ頃ですか


伊藤 会見直前です。でも詳細な状況までは把握していなかったので、「第一試合で相当なプレッシャーがあったのかな」とか「もしかしたら、本人にしか分からないダメージを負っているのでは」と心配していたんです。「お酒」というのはどこかの記事でチラっと読んだのですが、改めて今話を聞けば聞くほど、心配していた自分にも腹が立ちますよね。


篠塚 ……。


伊藤 これじゃあ、本物の「プロブレム・ボーイ」ですよね。リングに上がる時のキャッチコピーとしてはアリですが、プライベートもそれじゃ、困ります。


― ジムの那須川会長と会話は?


篠塚 いや、会長も試合を終えてからタイに行く準備などがあり、時間がなく。一度電話をもらったのが、この件(一人ぼっちの翌々日会見)で。


― 会長には怒られましたか?


篠塚 会長は苦笑してました。スタッフのグループに「会見を遅刻欠席して申し訳ございません」とメッセージを入れたのですが、誰も何も返してくれなかったので「マズイな」「絶対に怒られる」と思っていたのでちょっと安心しました。


伊藤 お前、「オイシイ」とか思ってるんじゃないだろうな!? 次は無いぞ、次は。


― 仮に翌日会見に出席していたら、どんなメッセージを用意していましたか


篠塚 3月10日はK-1の試合も同日開催だったので、「K-1も面白いけど、RISEも面白い」とか、K-1の芦澤が「RISEには天心しかいない」と言っていたので、「RISEにはオレみたいに強いのがいる」って。


― 伊藤代表としては、今回の事態を受けて、何かお考えはありますか


伊藤 このままじゃオイシイだけになってしまうし、何かしらのペナルティはあって然るべき。個人的には、「年内、ずっと第一試合目」で行こうかなと。


篠塚 マジっすか!?


伊藤 ファンのためにしっかり頑張って、身体を張って大会の起爆剤になってもらいます。それが選手としての罪滅ぼし。


篠塚 でも、年内にタイトル戦をやるかもしれないので、さすがにタイトル戦は一試合目とか無いっすよね?


伊藤 ゆるいな。そんな甘くないからな。仮にそうなったとしても、対戦相手に自分から謝っておくんだな。「タイトル戦なのに、第一試合目ですみません」と。

― せっかくなので、試合の振り返りも。今回の試合は見事なKOでした。試合前の戦略は


篠塚 いつも通りです。とにかく「殴ろう」と。パンチには自信がありますが、今回はキックの練習もしていました。ただパンチが効いてくれたので、そのままパンチでフィニッシュ。試合前は「30秒以内で倒す」とか言っていましたけど、実際にリングで瑠夏選手と向き合ってみたら、「1R以内で倒せるかどうか」少しだけ不安もありました。結果的には、ダメージも少なく倒すことができたので満足しています。


― 試合内容について、代表はどのように見ていますか


伊藤 辰樹らしい戦いですよね。瑠夏選手もいい選手ですが、第一試合目という会場の雰囲気に若干のまれてバタついていたかなと。一方の辰樹は「よーいドン」で一気に行く、相手に考えさせない戦いができていた。辰樹のパンチは速くて痛いんです。瑠夏選手は何をしていいか分からない状態で倒れてしまったのではないですかね。


篠塚 最初に一発入れてビビらせようと考えていました。狙いどおり一発当たったパンチはスリップになってしまいましたが、手応えはあったので。最後の右は流れの中で、無意識に入れることができました。


伊藤 そうですね。良いところだけ出して、大会の起爆剤として活躍してくれたので、感謝していますね。もちろん、“そこだけ”は、ですけどね。


― 今回は完勝でした。今後、さらにステップアップしていく過程で、篠塚選手に求めることは


伊藤 今までは比較的早いラウンドでの決着が多いので、相手がより強くなれば、接戦もしくは、ダメージの蓄積を負いながら長いラウンドを戦うことが求められます。その時に、どのような戦いをするかが、彼の忍耐力、真価が問われるところではないでしょうか。それに今まではノーマークでしたが、これからは「あいつは生意気だな。やっつけてやろう」と相手に研究されるようになっていく。対策を練られても、自分のスタイルを貫くことができるかどうか注目したいですね。今回はダメージが少なかったので、まずは5月の後楽園(5月19日 RISE132)には出したいと考えています。その流れを見て、7月に森本(森本“狂犬”義久)なのか、先日5試合目に登場したタリソン・ゴメスとの日本vsブラジル「バット・ボーイズ」対決なのか。タリソンやりたいだろ?


篠塚 え? あぁ……。


伊藤 観てない!? お前、そんな早くから酒飲んでたのか? まぁ、良くも悪くも分かりやすいヤツなので、実力もありますし、今後、RISEの顔になっていく選手の一人だとは思っています。それだけに、しっかりしてもらわないと。


― 「一人ぼっちの翌々日会見」である一方、ある意味「謝罪会見」でもあると思うのですが、本人からファンへの反省の言葉がまだ……


伊藤 翌日会見は月曜日。平日の昼間にもかかわらず大勢のメディアの皆様が集まってくださった。そのことについて、辰樹はしっかり考えないといけない。リングの上では「倒し合い」だけど、あくまでも我々はスポーツマン。リングから離れれば一人の社会人として、またはプロスポーツマンとしてファンや子どもたちに憧れるような存在にならないといけない。強ければいいというのではない。そのうえでファンに認められ、ファイトマネーを頂いて初めて、プロ格闘家としてやっていくことができる。違うか?


篠塚 確かに、今回は寝坊欠席したことでファンの期待を裏切り、感謝の気持ちを自分の言葉で伝えることができませんでした。5月の後楽園の試合前、会場の受付でファンサービスをやらせてもらえませんか? 


伊藤 あえてナーバスな試合前にやることで、ファンにお前の誠意が伝わることもあるかもしれないな。……よし、じゃあ入場曲が流れるまで、ファンサービスやらせてもらうか? グローブさえつけておけば、その流れで入場できるだろ?


篠塚 えっ!? いや、さすがに受付からの入場はキツいっす……。


伊藤 いずれにしても、その時までの辰樹の行いを見てから判断させてもらうからな。


篠塚 宜しくお願いします。この度は本当にすみませんでした。


(取材・文/車谷悟史)


(C)AbemaTV


【見逃し視聴】
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