新旧エースが“時代”を奪い合う! 3.21後楽園、中津vsイサミはBASARA史上最大の決戦

(C)DDTプロレスリング

(2月10日の成城大会で挑戦表明したイサミ。世代交代マッチだが、団体代表が時代を奪い返す闘いでもある)


 DDTグループのブランドで、インディーマット屈指の人気選手・木高イサミが代表を務めるプロレスリングBASARAが、昨年9月以来の後楽園ホール大会を開催する。3月21日、“聖地”でのメインイベントはユニオンMAX選手権試合、王者・中津良太と挑戦者・木高イサミの一騎打ちだ。


 中津はデビュー5年目の28歳。前回の後楽園大会でユニオンMAX初戴冠を果たした。この大会でイサミはアゴを負傷し、1月まで欠場することになった。9月以降、中津はチャンピオンとして、新エースとして団体を引っ張ってきた。“看板”のイサミを欠いても観客動員や会場の熱気は落ちず。かつてはBASARA=イサミワールドだったが、現在は中津ワールドであり、なおかつフリー、他団体含め選手それぞれが強烈な個性を主張する場になっている。


 今回、イサミがタイトルに挑戦表明したモチベーションもそこにある。以前は選手たちに「もっと自由に、プロレスを楽しんでほしい」と言っていたイサミ。それが現実のものになった今、団体の代表である彼も一人のチャレンジャーとして自己主張していく必要があるのだ。


 「BASARAは楽しいし心地いい団体ですけど、一歩間違えたらメチャクチャ怖い。僕がいないときのBASARAも狂ったように盛り上がってた。動員も増えたりして。選手たちの楽しさが伝染してるんですよ。だから今回、もし負けたりしたら全部の流れを持っていかれる。代表として嬉しい反面、プレイヤーとしては怖いですよ(笑)」


 そしてそういう状況だからこそ「もう一回くらい見たくないですか、イサミワールド」とイサミ。9月の負傷以来、BASARAの中で止まってしまった自分の時間を動かすためにもベルトが必要だと言う。


 イサミにとって、中津戦はベルトだけでなく時代を奪い返すための闘いだ。迎え撃つ中津にとっても、本格的な“中津時代”を確立するために打倒イサミは避けて通れない。

(阿部史典戦など、ここまでの防衛戦でも新エースとして観客を常に満足させてきた中津。イサミに勝てば、本格的な“中津時代”の到来)


「後楽園で、俺がトップだということを確実に位置づけたい」


「僕は旗揚げ前から『BASARAをイサミだけの団体にしてはいけない』と言ってきた。ここで勝って、初めてスタート。“イサミ時代”を“中津時代”にする」


 4度目の防衛戦に向け、そう語った中津。激しさに加え随所で笑いの要素があり、アイディアを盛り込む試合ぶりは両者に共通する魅力。中津はイサミから“BASARAらしさ”を受け継ぎつつ乗り越えようとしていると言っていい。


 イサミは前哨戦で中津から直接フォールを奪い、完全復調宣言。中津を「スピードもあるし打撃もサブミッションもできて、トップロープから飛ぶこともある。なんでもできるマルチプレイヤー」と評価しながら「いかんせんキャリアが違う。僕がやってきたものを全部出せば、それが勝機になる」と自信を見せている。


 これに対し、中津は「自分のウィークポイントは確かにキャリア。でもプロレスはその人の人生が出るもの。人生28年間の全部をぶつける」と返した。

(3月15日の会見でも、お互い主導権を譲らず。「敗者マイクなし」でBASARAの風景はどう変わるのか)


 その「プロレス以外の人生のキャリア」は「あんまり言わないほうが(笑)」という類のものらしいが、一つ例として挙げたのがアマチュア時代の地下格闘技(総合格闘技)の経験だ。


 「こんなところで殴り合いさせられるのかっていう、ハートの部分で厳しい経験を重ねてきたので。廃倉庫みたいなところで3m四方の金網リング、髪掴んでもOK、後頭部殴るのもありっていう。しかも僕も含めてレフェリーまで全員素人、リングドクターもいない雑な大会が一番キツかったですね」


 何か言われればすぐに言い返し、言葉でも主導権を譲らないのが中津とイサミ。どちらもエースとして大会を締める立場だからこそ、勝っても負けても観客に向き合ってきた。試合の結果がどうであれ、ファンを笑顔にさせて帰したいというのがイサミのモットーだ。中津も昨年から、何度もメインのリングに立ち、マイクを握って大会を締めている。


 前哨戦から言葉の攻防でもまったく退かない状況に、イサミの提案からこの試合は「敗者マイクなし」となった。負けたら言葉で挽回する余地なしというわけだ。試合後に“両雄並び立つ”場面が絶対にない新旧エース対決はあくまでシビア。現時点でのトップがどちらなのか、これ以上ないほどはっきりすることになる。

文・橋本宗洋


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