ONE日本大会、「世界のDJ」電撃参戦が意味するものとは?

 元UFC世界王者でフライ級11度の防衛記録をもつデメトリアス・ジョンソンがパンクラスの若松祐弥を2R2分40秒、フロントチョークで下し衝撃の新天地デビューを飾った。


 絶対王者の真の価値を問うONE参戦だ。複数の階級とアクの強いタレントがひしめくUFCの中で軽量級王者として、長年不動の地位を築いてきたデメトリアスは、異なる階級同士の強さを測る「パウンド・フォー・パウンド」で最強と言われ続けてきた。


 その一方で、7年無敗という圧倒的な強さから敵なしという状態からか、不幸にもUFC選手のもう一つバロメーターともいえる試合のPPV(ペーパービュー)でのセールスで苦戦するなどここ数年は不遇の日々を送っていたのも事実だ。昨年ヘンリー・セフードに判定負けでタイトルを失うと、タイトル奪還ではなく軽量級総合格闘技の新興市場であるアジアに目を向けることになり、夢の参戦が実現することになった。


 「本物来襲」はONEのフライ級戦線に大きな変化をもたらす大きな材料にもなり、デメトリアス・ジョンソンのONEでのデビュー戦は、ONEフライ級トーナメント1回戦として組まれた。徐々に強い相手を当てるのではなくONEの現在進行系のトップ8を揃えてトーナメントで当てていくという姿勢からもDJ効果でリーグの底上げを狙うONEの野心が感じられ、昨年から参戦しキレのある戦いを繰り広げてきた若松にDJ初戦の白羽の矢が立った。

 「マイティマウス」のニックネームはダテではない、左右に前後に俊敏よく動くフットワーク、狙いが定まると一瞬で飛び込んでくる高速タックル。若松より小柄なデメトリアスだが全ての動きが圧力を生み出す。


 次元の違う“速さ”はコンビネーションでも発揮される。フックをもらった次の瞬間には足元の深いところで片足タックルを取られている。一方若松もデメトリアスの強引なタックルに体を入れ替え上になるなど、必死で食らいついていく。特に首相撲ではしっかりと対応する姿が目立っていた。


 1Rも残り1分半、ここで若松が積極的な攻撃に出る。飛び込んできたデメトリアスに対して低空アッパーの鋭いパンチも顔をかすめるが、デメトリアスが再び手をおとりに速いタックルでテイクダウンを取り、パスガードからサイドからヒザと手数も十分にみせ最初のラウンドを終える。


 2ラウンドはデメトリアスの速いローに対して、若松の強い右フックが伸び着弾、追いながらもう一発狙うが空を切り、デメトリアスが再び低空飛行のタックルでテイクダウン。上を取ると左右にポジションを変えながら、肩固め、上からのチョークなど幾つものチャレンジを試しながら、ボディや顔面に肘やパンチに止めどなく打ち続ける、そんなスキのない打撃も最高峰の選手の技術だ。


 最後の攻撃のコンビネーションも見事で、アームロックを防御する若松の前方に開いたスペースに膝を叩き込み、膝を嫌い中腰になった若松の首をガッチリ掴みフロントチョークで1本、若松からタップを奪った。


 衝撃的な勝利とともにDJがONEでのデビューを飾ったが、この出来事は同時に世界の軽量級の激戦区がアジアへと移ったことを意味する。完璧な1本をとられた若松にとってはショッキングな敗戦といえるが、数発の若松のパンチを被弾したデメトリアスの顔はUFC時代でもあまり見たことがないくらいに腫れ上がっていた。世界に触れてきた事実はこれから彼をより強い世界へと導いてくれる筈だ。


 32歳と選手としても脂が乗ったベストの状態でのDJのONE参戦に期待は大きい。日本人選手以外でも成長著しいダニー・キンガド、打撃戦を制したカイラット・アクメトフ、そして今回の大会の参戦は見送りとなった和田竜光など、ONEフライ級のあらゆるタイプの選手との対戦への興味は尽きない。

(C)AbemaTV


【見逃し視聴】
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