柔術世界王者・湯浅麗歌子が涙 QUINTET初の女子大会は10th Planetが優勝

(優勝を果たした10th Planetの面々。右から2番目、2引き分けながら大きなインパクトを残したグレースはまだ16歳だ)


 グラップリングの団体戦抜き試合でトーナメントを行なう独自の大会、桜庭和志プロデュースのQUINTETが、初の女子大会を開催した。


 4月7日、立川立飛アリーナでの今年2度目のプロ大会。柔術世界大会で4度の優勝を誇る湯浅麗歌子の「TEAM BJJ KUNOICHI」、山本美憂率いるレスリング集団「TEAM Sun Chlorella」、女子MMAイベントからの選抜チーム「TEAM DEEP JEWELS」、アメリカの強豪ジム「TEAM 10th Planet」と実力、話題性を兼ね備えた選手たちが揃った。


 女子QUINTETの中心選手として期待がかかる柔術女王・湯浅のTEAM BJJ KUNOICHIは1回戦でTEAM Sun Chlorellaと激突。KUNOICHIの杉内由紀が秒殺一本の連続で3人抜きを果たすと、今度はレスリング五輪メダリストでUFCでのタイトルマッチ経験もあるサラ・マクマンがパワーを活かして3人抜き。鮮やかなフィニッシュの連続で観客が盛り上がる中、副将として登場した湯浅は体格差をものともせずマクマンに腕ひしぎ十字固めを極めた。この結果、湯浅vs大将・美憂の対戦が実現。ここでも湯浅はアグレッシブに攻めまくり、腕十字で一本。湯浅は動き、攻め続けることで相手をディフェンシブにさせ、「指導」で優位なポジションから再開してさらに極めに近づいていた。積極的に攻めることが重視されるQUINTETのルールを最大限に活かした試合を見せたといっていいだろう。

(湯浅は試合後のインタビュー中にも感極まる場面があったが、記念撮影では笑顔に。彼女たちの逆襲も今後のテーマとなる)


 決勝に上がってきたもう一つのチームは、男子チームも優勝している10th Planet。1回戦ではDEEP JEWELSに2人残りで勝利しており、エルヴァイラ・カルピネンが3人抜きを見せている。この決勝はドローの連続に。ただ、だから退屈だったというわけではなく、劣勢の選手が最後まで粘ってチームに貢献しようとする姿勢が印象的だった。


 副将・湯浅はポイントゲッターとしての登場だったが、10th Planetのグレース・ガンドラムと引き分けに。湯浅のアタックに対応、猛スピードの攻防を繰り広げたグレースも今後、人気が出そうな選手だ。2002年生まれで、まだ16歳の選手である。


 チームの勝敗を決める大将戦、澤田明子とリズ・カムーシュの一戦もドローとなったが、体格差もあり内容ではカムーシュが圧倒。団体戦の決着は、規定により大将戦の旗判定でカムーシュ勝利=TEAM 10th Planetの優勝となった。寝技に技術革新をもたらしたと言われるエディ・ブラボー主宰の10th Planetは、女子トーナメントでもその強さを発揮した。この優勝には、チームオーダーという団体戦ならではの要素も大きく絡んでいたようだ。


 「決勝では体の大きいリズを大将にした。最後に控える“壁”といったイメージだね」とエディ。BJJ KUNOICHIも、リズとグレースの順番を意識していたという。湯浅にとっては、体格差に関係なく「リズのほうがやりやすかった」。グラップリング専門ではないリズに湯浅が勝つか、指導一つでも取っていればKUNOICHIは大きく優勝に近づいていた。だが実際には湯浅vsグレースとなり、結果は引き分け。出場順、つまり戦略も団体戦であるQUINTETの大きな要素なのだ。


 表彰式、それにインタビュースペースでも、湯浅は「みんな頑張ってくれて。心が折れそうになっても“リカちゃんのために頑張る”って言ってくれて。みんなが支えてくれた」と涙を流している。単なる悔し涙ではなく、チームのための涙、団体戦だからこその涙だった。日本での大会で外国のチームが優勝したことで、女子QUINTETにはストーリーが生まれたともいえる。


 湯浅たちのリベンジ、また各チーム組み合わせを変えての対戦も見てみたいところ。初のQUINTET女子トーナメントは、魅力的かつ次につながる内容となった。

文・橋本宗洋


(C)AbemaTV


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